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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
幕間『過ぎ去りし過去の記憶』
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――まるで、幼い子供が悲しむような表情だった。
――――
寮の自室への道を歩いていた俺は、ふと外の風に当たりたくなり、中庭へと出る。
本来なら罰則ものだが……それでもなんとなく、俺は外に出たかった。
理由は……拓海に言われた言葉が、引っかかっていたから。
――……その時、君に何かあったのかい?
「隠し事は、できねぇな……あいつには……」
空に浮かぶ月を見上げながら、ポツリと呟く。恐らく、俺のあの演技を、あいつは見抜いている。
誰よりも、一夏や千冬さんよりも俺と共に過ごした時間が長いあいつの事だ、あの程度で騙される訳がない。
俺が拓海に問われた出来事……それは、鈴との一件で、あいつに質問された時の事だ。
――そ……そう言うアンタは、どうなのよ!?
――人に好きだ嫌いだ、ごちゃごちゃ言うんだったら、アンタは――
――あるさ
――ガキの頃の、青臭い片想いだけどな……
「青臭い片思い……か」
あいつとのやり取りを思い出して、自嘲的な笑みを浮かべる俺。
「それに気付いた時は、もう失ってたっつぅのにさ……」
そう、それに気付いた時、俺の手には何も無かった。温もりも、笑顔も……何処にもなかった。
「本当に、鈴よか救いねぇよな……こればっかりは、よ…」
そんな事を呟く俺の脳裏に、あの人の言葉が、あの時の出来事が蘇り、俺の胸を刺す……。
――ご、めん…ね、シュウ……ちゃん。
――い……っしょに、
宇宙
(
そら
)
…に、行けなく……なっちゃって……。
――大きく、なるの……待てなくて……ごめん、ね……。
何も出来なかった、護る事も出来なかった……。
――だい、じょうぶ……だよ…。
――シュウ…ちゃんは、強い……から……。
――……私がいなく、ても……夢を叶える事が、出来、る……よ…。
血だらけのままの姿で、懸命に俺を慰めて微笑んでいた『彼女』に、俺は駄々をこねる様に泣き続けてるしか出来なかった。
――……だから、ね…、笑ってよ……シュウ、ちゃん…。
――泣いた顔、なんて……君、には……似合わないんだから……さ…。
失って行く体温、流れて行く
生命
(
いのち
)
……それを目の当たりにして尚、俺は泣くことしか出来なかったんだ。
なのに……。
――うん……やっぱり、シュウちゃんの笑顔は……可愛い、なぁ……。
あの人は、最後の最後まで……俺を慰めてくれた。
――でも、大きく、なった、ら……格好、良いんだろう、なぁ……。
――見たかった、なぁ……。大きくなって、格好良く…なった、シュウ…ちゃんが、飛ぶ…姿と……笑っている顔、を…さ…。
――それを見たら、多分……私の、独り占め、だね……。あ、はは…残念、だなぁ…。
俺が無理に笑顔を作って笑った時でさえ、
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