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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十話『夜風の非常階段にて』
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ることを拒絶したあの言動から、自分の行動の意味をまったく理解していないわけではない……はずだ。
「しかし、セシリアも大胆なことをしてくれたもんだな……」
部屋の被害が最小限で済んだのは、セシリアが鈴の暴挙を止めた上で、賭け勝負という術中にはめてくれたおかげだった。
だがその代償は大きい。
何せ、これで一夏は否応なしに負けることができなくなったからだ。
今の鈴の状態を見ると、こっちが負ければ何を吹っかけてくるかは見当も付かない。
「大丈夫ですわよ、修夜さんが付いていますもの」
何故かセシリアに、自信満々でこう言われてしまった。
「それに一夏さんは、どちらかといえば本番に向けて追い詰めた方が、物覚えは良いようですし……」
セシリアに言われて、俺も思わず納得してしまった。
クラス代表決定戦での一週間の訓練期間中、一夏の学習能力はとても柔軟で良好だった。
粗削りとはいえ、数日前に大失敗していた急停止と急発進もこなせていたし、俺とも剣を交えながら割と良い感じに動いていた。
剣道でも、普段の稽古ではヘボかったのが、他の道場との交流戦では抜群の勝負強さを見せていた。
常人とは真逆、訓練に弱くても本番では学んだものを活かせる、奇妙な勝負強さが一夏には備わっている。
「……一気に責任重大になったな、俺」
そう、その資質をどこまで生かして本番で爆発させるか、すべては俺の指導にかかっているのだ。
「とにかく一夏、明日から本格的に修練に入るぞ。今日のことは一旦、頭の隅に置いておけ」
「置いておけって……」
釈然としない顔の一夏だが、引きずられて修練が先にいかないようだと、コイツ自身のためにならない。
「もちろん、言い過ぎたことはちゃんと謝っておけよ。でも“強くなる”って言ったのはお前の意思だ、それは忘れるな」
強くなるためには、体や技術を鍛えるだけじゃ駄目だ。
一夏だけじゃなく、俺も“精神的な修練”はまだまだ発展途上だし、なによりコイツの“甘さ”は少し『致命的』なところがある。
酷かもしれないけど、このぐらいは少し堪えられないと、この先になんていうのは到底無理な話だ。
「……さて、俺はあっちのフォローに向かいますか」
置き去りにされたボストンバッグを手に取り、俺は1026号室を後にすることにした。
「修夜さん、どちらに?」
背中越しにセシリアの声が聞こえ、それに振り返らずに返答する。
「荷物も持たずに帰った、もう一人の大馬鹿の様子を見にな……」
まったく、暴走し過ぎもほどがあるっていうんだよ……。
――――
あの馬鹿は一体どこに行ったんだ……!!
管理室に鈴の部屋の位置を訊き、中身の詰まったボストンバッグを片手に、アイツの部屋に向かったまではよかった。
鈴の部屋は、同居人が決まるまでの仮住まいとして、簡易の一人
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