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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十話『夜風の非常階段にて』
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るのが最善なんだろうが、そこまで調べて良いものかどうか……。
とりあえず、後で拓海には相談してみるか。
そんな事を考えながら、自室のある廊下を歩いていると――。
『最っっっ低! 女の子との約束をちゃんと覚えてないなんて、男の風上にも置けないヤツ! 犬に噛まれて死ね!』
……と言う叫び声が一夏達の部屋の方から聞こえた、その直後に――
「……っ、待てって言ってるだろ、この……貧乳!!」
馬鹿が火事場にガソリンを撒くのが分かった。
さらに『まな板』『ちんちく鈴』と罵声は続き、ガソリンにでは足りないと火薬とガスボンベも突っ込んでいる。
声のする方を見ると、開いたドアを閉めて出ていこうとした鈴が、体をこわばらせてとまり、そのままきびすを返して部屋に戻っていく。
振り返りざまに、ISを展開する際の独特の音が耳に入ってきた。
「あの……馬鹿二人が……!!」

――――

部屋に突入した俺は、一夏をISのマニュピレータで殴ろうとする鈴を目撃する。
背中からは、見て分かるぐらいの怒気が燃え盛っていた。
おまけに糸の切れたような動きを見るに、どうやらあまりの怒りで理性もふっ飛んでいるようだった。
鈴との距離およそ6メートル、振りかざした拳を止めるには少し間に合わない。
とっさに俺は、新品の2リットルのペットボトルのミネラルウォーターを見つけ、そいつを鈴に投げつける。
そしてISを部分展開して実体振動剣《ストライクファング》を呼び出し、四詠桜花の技をもってそいつを切り裂いた。

四詠桜花流、真傳之一(しんでんのいち)飛刃(ひじん)空裂破(くうれつは)――

剣風に闘気をのせ、それを離れた相手にまで飛ばす剣技。
四詠桜花の真髄は『不可不思議』とも言われる、物理法則を超えた妙技の数々にある。
それこそ、かつて魔法や呪いが信じられていた時代の遺物ともいえる、原理不詳の力を数多く扱うのだ。
飛刃・空裂破もその一つにして、最も基礎となる技。早い話が“飛ぶ斬撃”だ。
袈裟切りに割れたペットボトルは見事にはじけ、鈴の頭に文字通り冷や水を浴びせた。
「つめたっ……?!」
突然の冷たさで意識が戻ってきたのか、鈴は反射的にこっちを向いてきた。
「誰よっ、あたしにこんなことして無事で済むと――」
「一夏をタダで済まさないようにしようとしたヤツの言うことか、この大馬鹿鈴……!」
どうやら、一番の火種は事なきを得たようだ。
改めて部屋の中を見ると、メンツは一夏(バカ)と箒とセシリアの三人。
ドアの前の床には、どこかで見憶えのあるボストンバッグ。これはたぶん、鈴のだろうな。
あれほどの騒ぎを起こしながら、変に荒らされた形跡は無い。どうやら箒かセシリアが、上手く鈴を抑え込んだようだ。
改めて鈴の方を見てみる。
大人しく笑ってお
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