暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十八話『一夏の可能性』
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術も基本は一刀流であり、その太刀(さば)きにおいて、左手は重要な意味を成す。
これを“右手だけ”で操るとなると、まず右手の負担が一気に増す。オマケに左腕と一緒に受け止めていた相手からの攻撃の衝撃を、右腕一点で耐えるため、腕や肩への負担も倍増する。
なにより慣れないと、攻撃力が下がり、剣筋(けんすじ)の安定性も落ちる。
日本の刀剣は、腕の“引き”によって斬撃を生みだす。そのためには剣筋――つまり振り抜く刀剣が描く軌道を、正面から見たときに一直線にしなくては意味がない。この効率を良くするには、手っ取り早く両手で一本の刀を扱うのが、一番効率も安定性も良い。
これが不安定になれば、まともにものが斬れないどころか、相手にあっさりと刀を弾き飛ばされてしまう。
「無茶は承知の上だが、片手で別の武器を操るなら、まずこれが出来ないと無理だぞ?」
そうならないために、一夏に片手でも剣が振るえるよう、敢えて左手を封じて片手だけを使わせる必要がある。
要するに今からやることは、四詠桜花流における【二刀流の基礎訓練】なのだ。
ゲームや漫画でやたらと二刀流使いがいたりするが、二刀流は実際には“かなり難易度が高い”技術であり、そうポンポンと使える代物では無かったりする。
かの二刀流の始祖である剣豪・宮本武蔵が“武の天才”と呼ばれるのは、単純に強いというだけでなく、二刀流を使いこなす“突出した剣捌き”があったからこそというのも、一面にあるのだ。
「そんな……、いきなりやれって言われても……?!」
「文句は分かるぞ、俺も師匠に散々、理不尽としか思えない稽古をつけさせられてきたからな」
実際には、この片手縛りどころか両手両足縛られて、そのまま滝壺に突き落とされたこともある。
アレは溺れ死ぬかと思ったわ、マジで……。
「敢えて言う、“慣れろ”。それが武術における、唯一の近道だろ?」
言われて一夏は、本日何度目かの渋い顔とうなり声を上げた。
「じゃあ、雪片を呼びだして構えろ」
「ちょ……、マジでもうやるのかよ!?」
実体振動剣(ストライクファング)を呼び出して構える俺を見て、一夏は慌てて雪片二型の呼び出しを始める。
「よし、準備が出来たみたいだし……、始めるぞ一夏ぁ!!!」
「おわわわっ、待った待ったあぁっ?!」
雪片二型を手に取ったの見て、俺は一夏に突撃を仕掛け、一夏はあたふたと片手で剣を構えた。

さぁ見せてくれよ一夏、お前のその【可能性】ってヤツを――!!

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