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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十八話『一夏の可能性』
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も出たが、四詠桜花に扱えない武器は無い。徒手空拳も柔術も何でも使う。場合によっては、日用品さえ武器に変えてしまう。
とにかく【勝って生き残る】ことを理念とするため、その修行も多岐かつ熾烈を極める。
一例としては、棒切れ一本でヒグマを倒すとか、サメと泳ぎながらナイフ一本で戦うとか、素手で飢えた野犬の群れを全滅させるとか、刀を咥えたまま全裸で滝をよじ昇るとか、山で猿の群れから頭に括り付けた柿の実を非暴力で死守するとか、50mの断崖絶壁を往復させられたりとか、あと…………もういいや、思い出すだけで気力が萎えてくる……。
「一夏に今から俺が教えるのは、『一刀一拳の型』と『一刀一射の型』に共通する動作だ」
無言でうなずく一夏の目には、これまでにない力強さが満ちていた。
まったく、ホントに良い面構えしてやがるぜ。
「そのためにまずは……、そこでジュース飲んでるのほほんさん。ちょっと来てくれるか?」
「あれ〜、ばれちゃってた〜?」
いつものように、いつの間にか現れた本音が、拓海の横で紙パックのジュースを飲みながら座っていた。
「とりあえず簡単な手伝いをして欲しいんだが、頼まれてくれるか?」
「ん〜〜……、じゃあ今夜はペスカトーレがいいかなぁ〜」
とんちんかんな事を言っているように聞こえるが、要するに本音は今からの働きを対価に晩飯のリクエストをしているのだ。
「……海鮮トマトドリアじゃ駄目か?」
あいにく今の俺の部屋の冷蔵庫には、ペスカトーレが出来るほど魚介類は無い。
やっぱりアレには、殻付きのアサリや大振りのエビが入っているのが、俺的には醍醐味だな。
「う〜ん、しょうがないな〜〜」
妥協してあげると言った風だが、相変わらずのほほんとした雰囲気を崩さず、本音はジュースを座っている場所に置いて近づいてきた。

数分後――

「………あの、修夜……さん……?」
そこには、本音の手によって左腕をロープに縛られ、後ろ手で腰に固定させれた一夏がいた。
「あの……俺、“そういう趣味”は無いつもり…なんだけど……?」
「何を妄想してんだ、エロイチカ」
お前の発想は、どうしてそうオッサンなんだ。
「『一刀一拳の型』と『一刀一射の型』は、片手で剣を操り、片手で別の攻撃をおこなう格闘術だ。
 よってお前には、今から“右手だけで”俺と剣で立合稽古をしてもらう」
「なっ……、なんだってえぇぇえっ?!」
無茶言うなと、非難めいた悲鳴を上げる一夏だが、言いたいことは分かる。
日本の剣術は両手が基本である。
特に手に置いて重要なのは“左手の握り”で、これが弱いと刀が手から抜けたり、相手の打ち込みを防いだ時に簡単に刀を飛ばされてしまう危険性がある。バスケットボールのフリースローじゃないが、ぶっちゃけ“右手は添えるだけ”に感覚は近い。
篠乃之流剣
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