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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十七話『台風少女の襲来』
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、俺は少しげんなりとした表情でそう言葉を紡ぐ。昨日の一件が脳裏に蘇っているが、恐らく間違いない筈だ。
「修夜さん、心当たりがあるんですの?」
「……ああ。昨日、それらしい奴に会ったからな……」
「どんな奴だよ?」
セシリアの疑問にそう答えた俺に、一夏が聞いてくる。
「……多分、すぐ分かる。なんせ、俺らの『知り合い』だからな…」
ため息をつきながら俺はそう返すが、一夏は首をかしげる。これだけの情報じゃ、普通は分からないのも無理はない。
だが、俺自身この事を素直に教えてやる義理はない。昨日の一件もあるんだ、自分から来る徒労を与えても罰は当たるまい。
まぁ、本人はそんな苦労は気にしないだろうけどな……。
「んな事より、お前は来月のクラス対抗戦のことを考えたほうがいいぞ。
 ただでさえ、ここ最近のお前は基礎で躓いてて出遅れてんだ。そういう事を気にする余裕はないだろ?」
「……うっ」
俺の指摘に言葉を詰まらせる一夏。
クラス対抗戦とは読んで字の如く、クラス代表同士によるリーグマッチであり、本格的なIS学習が始まる前の実力指標を作るために行われる。
同時に、クラス単位での交流やクラスの団結を高めるためのイベントでもあるらしく、ある条件が付与されている。
「そうだよ! 織班くんに勝ってもらわないと、私たちも困るし!」
「そうそう、フリーパスのためにも!」
俺の言葉に賛同するかのように、周囲の女子たちが口々にそう言いだす。
このクラス対抗戦、学年全体のやる気を出させるために、一位のクラスには優勝商品が渡される。
今回の場合は学食デザートのフリーパスであり、甘い物が好きな女子達にとっては、是が非でも手に入れて欲しいと言う気持ちは分からなくもない。
もっとも、俺としては自分で作る方が結果として安上がりだから、差して気にしちゃいない。気掛かりがあるとすれば、その半年分のデザートを俺が作る羽目にならないかどうかだけだ。
(……場合によっては、また職員会議で提案されそうだからな…)
バイキングパーティーとなった出来事を思い出して、憂鬱になる。
フリーパスではなく、半年間優勝したクラス専任のパティシエに変更とか言われたら、俺はマジでここから逃げるぞ……。
「織斑くん、がんばってねー」
「フリーパスのためにもね!」
「今のところ専用機を持ってるクラス代表って一組と四組だけだから、余裕だよ」
そんな俺の考えとは裏腹に、やいのやいのと騒ぐクラスメイトたち。
「おう」
そんな彼女たちに、軽く返事を返す一夏。こいつもこいつで、一応勝つ気はあるってところか。
「――その情報、古いよ」
そんな風に考える俺の耳に、昨日も聞いたあの声が届く……。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
そこには腕を組み、
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