暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十五話『クラス代表の決定と懐かしき転校生・後編』
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
う言葉は使わない。『出る』、場合よっては【優勝する】と断言するぐらいは平気でやる。
ゆえに各国の代表候補生たちのように、『世界を狙うため』『国家の威信を背負って』というのであれば、鈴がこの春めく風も碧風(あおかぜ)という4月の終わりに転入というのは、些かどころでなく遅い話である。
「大体、お前のような暴走機関車が、そんな『ご高尚な夢』を持って学園に来る事自体が考えられんわ」
「なっ……?!」
えらく失礼な言い方だが、修夜の言わんとすることは間違っていない。
くどいようだが、鈴という少女は短気で直情径行の性格であり、それゆえに自分の興味の外のことは、まったく眼中になくなる。前に向かって突っ走るクセゆえなのだが、他人からすれば“自己中心的”以外の何物でもない。そして事実、鈴のこの性質は巡り巡って、彼女に自己中心的な思考回路をもたらしている。
修夜が知る鈴にとって、『国の威信』など興味の対象にはなり得ず、それどころか路傍の石に等しいものだ。
なぜなら、彼女には“世界と天秤にかけても『それが重い』と言わしめる存在”がいることを、修夜は知っている。
「お前のことだ、大方のところ【一夏】がIS学園に入学したのを知って、慌てて飛び込んできたんじゃないのか?」
言った途端――
「だ……だ……誰がっ、あ…あんなっ、極楽とんぼで朴念仁で間抜けで素っ頓狂で顔だけ良くてへらへらしてて“人の気も知らない”腹ペコ馬鹿のことで、国を飛びださなきゃいけないのよぉっ!!!」
この言い草である。
(ホント、【一夏バカ】だよなぁ……)
修夜も詳しいところは知らないが、どうやら鈴は一夏に対して、世間でいうところの【恋】をしているらしい。
その発端を知らないし、鈴が一夏のどこに惚れたのかも、修夜は分かっていない。
ただ、彼女が転校してきてしばらくして以降、彼女は“色恋沙汰に至極疎い修夜にさえ分かるほど”に、明確に一夏に対しての態度と周囲への対応とを変えていたのだった。
余談だが、このことを修夜が白夜に尋ねた際、白夜に思わず「お前に色恋を理解する心があったのか」と、真面目に驚かれたという。もっとも、修夜も最初はクラスメイトが冗談交じりに言ったのを聞いて、合点がいったのだが。
「そそそ……、そういうアンタはどうなのよっ、ホントにISの適性出たんでしょうね!?」
「じゃなきゃ、ここにいることも、ニュースにされることもないだろ」
お返しとばかりに、反撃に出ようとする鈴だが、初撃はものの見事に肩透かしになった。
眉間を寄せて修夜を睨む鈴を、しれっとした顔で受け流す修夜。
余裕綽々な修夜に歯がみしていた鈴だが、不意に“嫌味の神”が彼女に“降りて”きた。
「……へぇ〜〜、そう。そうよね、昔から将来の夢とか言って、『ISで空を飛びたい』とかうるさかったものね〜。
 も
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ