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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十四話『クラス代表の決定と懐かしき転校生・前編』
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いた。
話では、急な来訪で送迎や案内に回せる人間がおらず、メールに説明されたルートを頼りに、少女は独力で学園に辿り着いたのだった。
西日が照らす校舎を見まわしながら、少女は総合受付の窓口を探していた。
メールでは17時には受付が終了するとあったため、彼女の中で徐々に焦りが募りはじめる。
ふと、何やら騒がしい声がしたので後ろを振り返ってみる。
見るとそこには、金髪の美少女がなにやら泣きわめきながら“男子生徒”を追い回しているという、漫画のコメディシーンを彷彿とさせる珍妙な光景が展開されていた。
(なにあれ……)
呆れてすぐさまその場を去ろうとした少女だったが、状況の『別の』異常に気付いて立ち止った。
(……って、なんでここに“男”が居るワケ?!)
IS学園に入学できるのは、【ISに一定の基準以上の適性を持つ女子だけ】である。
その『少女たちの花園』に、どういう訳か学園の制服を着た“男”が、普通に学生生活を送っているのだ。
(――そんな、まさか……!?)
少女の脳裏に、学園を訪れる前に聞かされた情報が甦る。
<日本から、ISの適性を持つ男子が“2人も”現れた>
一人は正直、憶えていなかった。……というか、少女にとってはどうでもよかった。
問題だったのは、最初に聞かされた方の名前だった。
それは少女にとって、自分の“帰る家”に等しい存在の名前だった。
ふと見ると、追いかけっこをする二人を追う“もう一組の男女”が眼に映った。
「……一……夏……?」
少女は、見つけた。
自分の求めてやまない“帰る家”を、かつての『約束』を果たすべき“連理の枝の片割れ”を――。
思わず、大きな声でその名を呼ぼうと息を吸いかけた……そのとき。
少女の眼に付いたのは、自分の片割れに妙に馴れ馴れしい“どこぞの馬の骨”だった。
背丈はそこそこ、見目は凛々しく髪は黒、健康的なスタイルのよさ、認めたくはないがなかなかの美人である。ゆえに癪に障った。
だが見ていてもっとも癪に障ったのは、馬の骨の“胸の大きさ”だった。
制服の上着に無理やり押し込んでいるような、はち切れんばかりに豊満な胸。それが自分の片割れに馴れ馴れしくするさまに、怒りのボルテージは一気に上昇していく。そして、その馬の骨に愛想良くふるまう片割れの態度に、彼女の怒りはますますヒートアップした。
(な……、なによあれっ、あんなのが良いっていうのっ!?)
湧きあがる怒りに顔は歪み、少女は思わず“自分のIS”に展開命令を発しそうになる。
しかし――
「そこのあなた、何をしているの?」
不意に、学園の職員と思しき女性に声をかけれる。
「その制服はこの学園のものじゃないけれど、転入生か何かかしら?」
今すぐにでも、ふしだらな真似をする片割れと、それを馬鹿デカイ胸で誘惑したに違いない馬
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