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とある蛇の世界録
第九話
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が、あいつが出てきたっつーことは、不味いことなんよな……」
「はい、それにアジ・ダハーカのこともありますし……」

 三人揃って溜息をつく。

 その中でも、画面の中の戦いは熾烈を極めていた。



 赤く脈動する固有結界『アジ・フロイライン』の中。完全に崩落した駒王学園にて、ニーズへックと朧の戦いは続いていた。
 ニーズへックの片腕が、朧の持つ聖剣・『クロムダスク・リリィ』によって吹き飛ばされる。それはもはや蹂躙だった。ニーズへックも反撃をするが、それは朧にとどかない。攻撃の全てが、突然現れる白い花弁に吸収されるのだ。

「クソっ! 何だその聖剣はッ! そんなもの、私は見たことが無いぞッ!」
「………………」

 ニーズへックの問いかけにはもはや答えない。応えられる状態ではないのだ。
 その応えの代わりと、ニーズへックの四肢に蛇が巻きつく。

「邪魔を、するなぁッ!」

 その蛇たちをなぎ払う――なぎ払ってしまった。その一瞬の隙を、最強が見逃すはずも無かったといのに。

「ッ!」

 朧の持つ聖剣から、大きな白い花が現れたのだ。その中から、真っ黒なツルが飛び出て、二ーズへックの身体を貫いた――が、痛みはなかった

「なに、を…………は?」

 不審に思ったのもまた一瞬だった。突如、ニーズへックの体中から血が吹き出たのだ。だが、痛みはない。なんなんだ? これは…………。

 そんな中、分かったことは一つ。

「――貴様ァッ! また私の邪魔をするのかァッ!」

 最後のニーズへックの叫びにも、朧は応えない。
 そのまま、ニーズへックに止めを刺そうと近づいた――が、

 それは、突然現れた二つの影に阻まれる。すさまじい力で両腕を絡められ、身動きを止める。

「母様。ニーズへック、ころしちゃダメ」
「お父さん。『ラグナロク』にニーズの力は必要だよ」

 朧の子供。
 オーフィスとマユだった。

 
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