第五話
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マユとの再開から数日経ったある日のこと。朧は一人で駅前のドーナツショップにいた。そのテーブルの上には、思わず崩れそうなほどに積み重なったドーナツがあった。そのうちの一つに手を伸ばし、口に運んだところで、見知った顔が店内に入ってきた。
「お、朧………お前、それ……」
テーブルの上のドーナツを指し、顔を引きつらせる一誠。小猫の目線はテーブルの上のドーナツを見つめていた。
「なんだ、イッセー。何か用か」
それにハッとしたように一誠は朧の向かいに座り、用事の詳細を話し始めた。
「つまり、コカビエルが聖剣を盗んだからやつらが派遣され、それを追うのにお前達も付き合うとそういうことか?」
「そうだ。だから――」
「私にも手伝って欲しいと?」
「! あぁッ! そうだッ! 頼むッ!」
頭をテーブルにぶつけそうなほどに勢いよく下げる一誠。そこには本気の熱意が伝わってきた――が、朧は、
「私は手伝わないぞ」
「なッ! なんでだよッ!」
「私の仕事の範囲外だ。それに、そもそも聖剣自体も教会に渡したつもりはない。別に誰がもっていようと私には関係ない」
「で、でもッ……朧ッ! コカビエルってやつは戦争をするつもりなんだぞッ!?」
「だからなんだ。所詮カラスごときが戦争を始めても私には何も支障はでない」
それに朧は、それよりも厄介な存在が戦争を始めるために自分をたずねてきたのだから、そんな小さなことに気を張っているわけにはいかないのだ。
マユは人間に手を出さないとは言っていたが、それも保証できるものが少しもないのだから、安易に安心はできない。人間がいないと存在できないという台詞も、そもそもマユ自身が言い出したことなのだから、それに関しても裏づけがないのだし。そうなると、やはりマユの言葉は信用ならなかった。
「……ところで、アーシアは何処だ?」
「あ、アーシアは今日日直だろ?」
「そうか。ならいい」
「…………! アーシアも戦争になったら危ないだろ!? 戦争はやめたほうが良いだろ、アーシアのためにもッ!」
「アーシアに関しても私が護れば良い。それに、あいつら三勢力は私に手を出せないだろう、こう見えても私は世界最強だぞ? とち狂っても私には攻撃できないはずだ」
「で、もッ。アーシアは戦争なんて嫌って言うはずだろッ!? それに戦争になったらアーシアも戦わなきゃいけないかもしれない……もしかしたらアーシアはッ! 自分を犠牲にしてでも人を助けようとするかもしれない――いやッ! 絶対にそうするッ! それはお前も分かっていることだろうッ!?」
――――その時だった、
朧の、コーヒーを掲げていた手が震えた。ほんの一瞬震えたのだ。
それを悟らせまいと、すぐにコーヒーに口をつけたが、小猫も一誠もその震えに気付いていた。
「
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