第11話 決着
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ギプスがしてある。見るからに重症だ。
「だ、大丈夫なのか?」
思わずそう声を掛ける。
「問題ないわよ。一ヶ月もすれば動けるようになるって」
そう言い放つアリアはどこか素っ気ない。
その事に多少の疑問を抱きつつも、クルトはアリアが無事で安堵の息を吐く。
「無事で良かった。あの時は確実に死んだと思ったからな」
「勝手に殺すな」
「………あれ?」
やはりアリアのテンションが今までにないレベルで低い。
こういう時は心配されて嬉しい反動で顔を赤らめ喚き散らす筈なのに。と、何気に酷い事を考えるクルト。
「…………………」
アリアの感じがいつもと違うが故にクルトは押し黙る。
そして辺りに漂うのは微妙な空気。
何かを言おうとしても、何も思いつかない。
「…ごめんなさい」
どうすれば。
そう考えていた時、最初に沈黙を破ったのはアリアからだった。それもアリアらしからぬ謝罪で。
当然クルトは呆気に取られる。
「…いきなりどうした?」
思わず口に出してしまう程に。
「自分がね、情けないなって思ったのよ。レズリーさんとの戦い、あたしは何の役にも立てなかった。二発パンチを入れただけ。もしあの後あたしが戦闘可能だったら、又変わった結末になっていたかもしれないのに…」
尻すぼみに小さくなっていくアリアの声を必死に聞く。
途中から涙声になっているアリアを、クルトは真剣な表情で見つめていた。
「だからごめん。あたしはさ、強くなったと思ってたのよ。四年間必死に修行して、そこらの武偵よりも強くなったつもりでいた。けど、全然ダメだった」
「そんなことは…」
「ううん。そんな事あるのよ。―――だってあたしね、あんたに追いつきたくてこの四年間頑張ってきたのよ。あんたぐらい強くなって、そしてあんたの隣に立てる、あんたに背中を預けられる、そんな存在になりたくれ頑張ってきたのよ。…けどね、全然ダメだった」
ぽた。ぽた。
白いシーツに涙によって黒いシミが出来る。
「あ、あたしは結局なんの役にも立てなくて…。結局あんたに全部押し付けて、無様に寝転んで…い、いた…だ、だけで…ッ!」
堪えきれなくなったのか、ぼろぼろと涙を流す。
「っっ…!」
そんなアリアをクルトは咄嗟に抱きしめた。
「俺だって無様なもんだった。一撃喰らわして、それで満足して。結果今度は俺が一撃喰らってノックダウン。無様レベルで言ったら俺の方が遥かに上だろ」
それに。とクルトは呟く。
「レズリーの強さは本物だ。あの場所にアリアがいても、結果として取り逃がしていたと思う。それは俺とお前が弱いからだ。だからさ。だから―――これ
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