第11話 決着
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は初めてだった。
(いくらあのジジイが人間離れした肉体の持ち主でもこれは…)
思考が追いつかなかった。
目の前で悠然と立っている男の一切が理解出来なかった。
―――どうして立っている?
―――どうして動ける?
―――どうして喋れる?
結果は純然に目の前に鎮座しているのに、クルトはそれを受け入れる事が出来ない。理解する事が出来ない。
そうなってしまう程、あの攻撃はクルトにとってそれ程のものだったのだ。
「ふ、理解出来んか。何故儂がお主の攻撃を受けて立っていられるのか」
レズリーはそう言ってクルトの目を見る。
どうやら感情が出てしまったのか、レズリーは小さく笑い、「青いのう」と呟いた。
「単純じゃ。回復したからじゃよ」
単純明快。
そう言わんばかりにレズリーは言い切った。
「あの時、お主の拳を受け、儂の意識は完全にもっていかれた。それ程の威力を持つ素晴らしい一撃じゃった。そしてお主が儂に手錠を嵌め、アリアの元へ向かい、話し掛けた時、丁度儂は目を覚ましたのじゃ。そして動けるまで回復し、今に至る。どうじゃ。単純じゃろ?」
「……わ、笑わせる…な。そんなふざけた…回復能力が、あってたまるか…」
「それがあるんじゃよ。現実とは非常なもんじゃのう」
「ざ、ざけてんじゃ―――がはっ!」
クルトの口から血が吐き出される。
「喋り過ぎじゃ。…では、儂もそろそろ逃げるとするかのう」
そう言って、レズリーは歩き出す。
クルトは渾身の力を振り絞り追いかけようとするも、今までの戦闘で与えられたダメージ。それに加え、先程の一撃のせいで、満足に動く事も出来ない。
「―――クルト。そう急がんでも儂とお主は再び会い見えるじゃろう。お主が武偵を続ける限りの。まあ、それは一年後かもしれんし、もしかしたら十年後かもしれんが」
そこでレズリーは一度言葉を区切る。そして。
凄まじいオーラがレズリーの身体から吹き出した。
この空間のみならず、通路全てを満たし、尚且つ溢れ出んばかりの圧倒的オーラの量。多いやら、膨大などという言葉では到底表現出来ないその量に、クルトは驚愕する。
(う、嘘だろ…。さっきの戦闘で出したオーラの十倍…いや、もっと…ッ!?)
完全に想像を超えている。
(オーラの総量だけなら兄貴…いや、もしかしたら親父や爺ちゃんすら超えてんじゃ…ッ!?)
驚愕を顔に貼り付かせるクルトに、まるで悪戯が成功したかのような子供っぽい笑みを浮かべながら、レズリーは言った。
「どうじゃ。これが儂の“錬”じゃ。儂の強さの目安くらいにはなるかのう?」
―――これを超えてみろ。
まるでそう言わんばかりの言い方
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