落花流水
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読み取ることもできない。
彼はどう思っているかは知らないが弟はこの倦怠機関が嫌いだった。
それを引き起こしているのは他の誰でもない自分だと重々理解しているつもりだがそれでも「対」と言う絆を無視され、その他大勢の中に囲われるのは身を裂かれるより痛いし悲しい。
自分自身を抱きしめるように両腕を組んで月を仰いでいた最中に背後から声を掛けられたのだ、逆に驚かない方が肝が据わっているというものだ。
「十六夜……ですか。それは嬉しいですね。私も好きですよ…………十六夜の君……」
支えられたままの格好でもあの銀色に輝く月の姿が見えるらしく、雄黄はいつもと変わらない口調で愛でた。
彼はその神々しさに敬意を表して「○○の君」と呼ぶのが癖になっている。
これがもしも縁側で酒を酌み交わしながら眺めていたのならあしらっていただろうがこの時ばかり自分の妙に勘の鋭いことに後悔したことはない。
……振り返った先には陣を結び終えた雄黄の姿があった。
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