落花流水
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胸に溜め込んでしまう双子の兄、現在進行形でキズついているであろう。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
まだ彼は三十年も生きてない。
いや、命はいつだって平等だ、そんなことは解っている!
なのにっ!……やっと……やっと逢えた………そう思っていたのにっ。
………………この運命は何に対する罪だと言うんだっ!?
……人間の生命は何て脆いのだろう。
「すみません。いつも君たちに無理を言って」
背後で待機している彼を振り切って立ち上がる……ろうとして大きくふら付いた所を肩に回された腕に抱きかかえられる。
こちらに向かって手を伸ばす左近が雨戸の傍らから消えたのと銀の髪が雄黄の頬を掠めたのはほぼ同時だった。
恰も幻のように残像が大気に溶ける瞬間、彼が笑ったがこちらはそれどころではなく今初めて知った事実に愕然としていた。
病魔に蝕まれている所為なのか二十代の男性としてはかなり痩せ細り、預けられたであろう重みでさえ以前とは比べ物にならないほど軽い。
「全くだ」
また目頭が熱くなってきそうな気がして思わず強い口調になってしまった。
以前、よくその場を考えないで勢いでものを言うと二人から説教をされたことを思い出す。
心の中で舌打ちしてからでは遅いが、視線は相手を覗き込んでいた。
「すみません……ごほっごほっ」
「いーから寝てろ。依頼なら俺たちで何とかする、だから…」
口元を押さえて咳き込む雄黄をすっと立ち上がった兄に手渡そうとするが弱々しく掴まれた袖からそれを無下に外す真似はできない。
今はこんなだがあくまでこの青年は従うべき主、我のために力を使えと下されれば地の果てでも駆け抜けるし、我のためにその命を差し出せと下されれば己の喉元を喜んで鋭い爪で掻っ切るだろう。
しかし、歴代の華衣はそれを命じず、己が生を全うするまでその傍らにいることを願った。
そして、巡りくるであろう次の代の「友」として相談に乗って欲しい……と…。
その身に宿る……紅の刻印が総てを焼き尽くすまで……。
「今までっ…………勝手なことを言って……すみません」
「謝るなら俺達を一緒に連れてけよっ」
「…………それは、できません」
「なんでだよっ!!」
眠いのだろうか、既に夜中の十二時を回っているためか先程から妙に重たげに瞼を閉じたり開いたりを繰り返している。
彼が病に臥せてから幾度この行為にヒヤヒヤさせられたことだろう、今でもそれは変わらないのだがどうせ今宵も杞憂であろう、そうであ
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