二十三 中盤戦
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轟音。
着地したナルトが背後の壁を振り返る。壁に穿たれた孔からは濛々と煙が立ち上っていた。
「究極肉体によるチャクラ開放。その究極の一撃がこの【超活性拳】だ」
【超活性拳】で大理石の山を突き崩した神農が、不敵に笑う。傷だらけだった全身はまたもや自然治癒で全快していた。
「村の連中がわしの企みを知ってしまったのは予想外だったが、逆に好都合だ。奴らは今、絶望し、そしてわしを憎んでいる。つまり闇のチャクラが増える一方なのだよ」
肩に乗っていた瓦礫の欠片をわざとらしく払いのけ、神農はくくっと喉を震わせる。そして「特に病気の小娘は凄いぞ。村から隔離されていた小屋で偶々見つけたが、儲け物だったな」と続けて言った。話を静かに聞いていたナルトが眉を顰める。
「貴様のやる事為す事、全て裏目に出ているんだよ」と締めくくった神農に、ナルトは鋭い視線を投げた。
「病気の者を放置しているのか…」
神農の【超活性拳】や挑発ではなく、ナルトは「病気の小娘」という言葉に反応する。意外だったのか、一瞬目を見張る神農。だが彼はすぐにふんと鼻で笑った。
「病に侵された者はそれだけ闇が深い。負の感情に心を支配され、闇チャクラを無限に生み出す。わざわざ治す必要がどこにある?」
「貴方の腕なら治せるはずだ」
「言ったはずだ。善良な名医としての神農はもはや死んだと……。でもまぁ、治療してやって、後で真実を突き付けたほうが効果的だったかな?命を救われた人間は、決してその人間を疑わないからなあ」
どこか残忍な笑みを見せる神農に、ナルトは嫌悪の表情を向ける。それはほんの一瞬だったが、確かに彼の瞳には瞋恚の炎が宿っていた。
無言で攻撃体勢に入ろうとするナルトに、香燐が慌てて声を掛けた。
「癪だが、あのクソ野郎の闇チャクラがどんどん増えてるのは事実だ。それに術の効果か、怪我を治すたびに力も強くなっているようだし…。闘えば闘うほど不利になるぞ」
【神楽心眼】で相手を分析していた彼女が冷静に指摘する。香燐の言葉を目敏く聞きつけ、神農はにぃと口元に弧を描いた。
「…だがそれは、神農自身のチャクラじゃない」
嘲笑する神農をじっと見据え、ナルトは呟きを漏らした。香燐の胸の前にすっと腕を伸ばし、彼女を後方に下がらせる。物言いたげに口を開いた香燐だが、ナルトの有無を言わさぬ目に渋々身を引いた。
すっとナルトが身を屈める。独特の構えをとった彼の姿を目にして、神農は顔を強張らせた。笑みを象っていた唇が歪む。
「その構えは……ッ!?」
流石に世界を渡り歩いただけはある。特に人体に関しての豊富な知識を持つ彼は、その体勢の意味をも知っていた。表情を凍らせる。
ナルトが一歩、足を踏み出した。
「【柔拳法・八卦―――…」
驚異的な速度で間合いを詰める
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