二十三 中盤戦
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を切る音が耳朶に触れる。
大理石の瓦礫。それらが細大漏らさず、部屋の中央にいる神農目指して飛んでくる。まるで重力で引きつけられるように。
神農は瞳を瞬かせた。飛来してくるそれらが何れもキラキラと光っているように見えたのだ。大広間の照明に反射して瞬く銀の光。
(なんだ?)
ハッと神農は我に返った。自身に襲い掛かる瓦礫を回避しようとする。が、足が動かない。
見下ろすと、足首に何かが絡みついている。幾重にも巻かれた糸。
その糸の先はどれも飛んでくる瓦礫と繋がっている。鋼糸だった。
未だ空に浮くナルトがくいっと指を動かす。神農同様大理石に巻きつく鋼糸がその指の動きに反応した。先ほど以上に速く、神農に迫り来る瓦礫の山。
神農は腕を我武者羅に振った。隆々たる筋肉を誇る両腕は、襲い掛かるそれらを見事に粉砕する。だがナルトが再度、指を微動させた。
あやとりでもしているかのような滑らかな仕草に反し、神農の足首がぐぐっと締め付けられる。同時に、ただでさえ自由の利かぬ足の下腿に、飛来してきた瓦礫の一つが激突した。
痛みで今度こそ転倒する神農の身体。足を掬われたその身を上から押し潰さんとする大理石。
ナルトが交差した両拳をぎゅっと握り締めた。
刹那、広間の中央に立っていた神農の姿が瓦礫の山に取って代る。
トッと軽やかにナルトは床に着地した。広間の四方にあったはずの大理石が全て室内の中央に集結している。
先ほどから神農に肉弾戦ばかり仕掛けていたナルト。同時に室内を目まぐるしく駆けながら、四隅にある大理石の瓦礫に鋼糸を張り巡らせておく。神農を部屋の中央に誘導し、接近戦に持ち込む。そしてその糸の先を、秘かに彼の身に絡ませておいたのだ。
広間の中央。ちょうど円環が施された位置に積み上げられた大理石は沈黙している。
眼前の攻防に香燐はただ呆気にとられていた。瓦礫の山に潰された神農を恐る恐る見遣る。
静かだ。圧死でもしたのだろうか。
だがふと悪寒がし、彼女は身震いした。瓦礫奥から漂う不気味な静寂。
不安を拭いきれぬ香燐の眼前で、ナルトは鋼糸をしゅるりと手元に収めた。次いで床を蹴る。瓦礫の山に埋もれた神農目掛け、一気に迫った。
「……ッ!?ダーリン、避けろ!!」
ふいに香燐が叫ぶ。そのただならぬ声に、ナルトは咄嗟に飛びのいた。
爆発。
突如、瓦礫の山が飛び散った。
破片と土煙がナルトの目と鼻の先で舞い上がる。煙の中、うっすらと見えてくる人の輪郭。
「【活性拳】!!」
声と共に、何かが飛んでくる。それは黒ずんだチャクラを迸らせながら空気を切り裂く。
紫紺の円球。
迫る球から逃げるように、ナルトは後方へバク転した。着手後、勢いよく床を突き放し、そのまま跳躍。円球はナルトの下を通り過ぎ、壁に激突した
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