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久遠の神話
第七十六話 富を求めるならその七
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「ですから彼もまた、ですね」
「戦いから降りてもらうことはですね」
「難しいですね」
「全くです」
 こう話すのだった、聡美は加藤のことについて憂いを感じていた。」
 しかし今考えてもどうにもならない、それでだった。
 智子は二人にだ、こう言ったのだった。
「これ以上今話してもどうにもなりませんね」
「はい、そうですね」
「では今は」
「お話はお開きにしましょう」
 今話してもどうにもならないのならば話をしない、これも智恵の一つである。智子は智恵の女神としてそれを止めたのだ。
 それでだ、こうも言ったのである。
「では今からお菓子に専念しましょう」
「そうですね、日本のお菓子は」
 豊香は笑顔でそのクッキーを食べながら言った。
「かなり美味しいですね」
「そうね、この味は」
 智子もそのクッキー、チョコレートのそれを食べながら言う。
「最高ですね」
「特にこのカントリーマアムが」
 クッキーの中にはそれもあった、豊香は今それを食べているのだ。
「いいですね」
「こんなものはギリシアにもないです」
 彼女達の国にもというのだ。
「それだけに」
「チョコレートも上手く活かしています」
 食べながらだ、豊香は二人に話していく。
「日本は美食の国といいますが」
「その言葉に相応しいですね」
「お菓子だけではありませんから」
「素晴らしい国です」
「私もそう思います」 
 聡美も言う、日本の食べ物について。
「これなら幾らでも食べられますね」
「そうね、この菓子達はね」
「飽きません」
 智子と豊香も応える。
「それじゃあ今も」
「頂きましょう」
 こう話してだった、三人で食べていってであった。
 その楽しみの後で席を立つ、そのうえでまた手を打つ用意をした。
 王は今も怪物と戦っていた、巨大な二つ首の犬を倒していた、場所は街のビルとビルの間の小道だ。その小道には人はおろか犬や猫はおろか今は鼠一匹存在しない、怪物はオルトロスのレプリカだった。  
 そのレプリカのオルトロスを倒してからだ、彼は言った。
「これでまた富が手に入ったな」
「しかしですね」
「それでもですね」
 彼の後ろから声がしてきた。
「まだ百億には遠い」
「そうですね」
「貴女達かな」
 王はその声ですぐにわかった、それでまずはこう言ったのである。
「私に用だね」
「はい、そうです」
「それで来ました」
 そうだとだ、声達も彼に答える。
「貴方に是非にというお話がありまして」
「それで参りました」
「成程、それじゃあ」
 王は道に転がる怪物が残していった黄金の束を全て拾った、そして懐の中に入れてであった。
 それから身体を起こし後ろを振り向いた、そのうえで彼女達に顔を向けそのうえであら
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