第五十三話 音楽喫茶その五
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「アイドルの曲とかどう?」
「それがいいかしら」
「少しロック調にしてね」
それで演奏して歌えばどうかというのだ。
「そうする?」
「いいな、それ」
リーダーである美優がまず言う。
「あたしはいいと思うぜ、それで」
「私も」
「私もね」
景子と里香も彩夏の提案に頷く。
「アレンジも少しよね」
「オリジナルに近くよね」
「そう、バンドで演奏する感じにするから」
そうするというのだ。
「ダンスなしでね」
「そう、それじゃあね」
琴乃もだ、彩夏の提案にこう返す。
「演奏とヴォーカルで」
「ダンス抜きでやるってことでね」
「それじゃあね」
彩夏に対して言う。
「それでいこう」
「これで決まりだな」
美優は五人の意見が一致したと見てまた笑顔で言った。
「そうしようか」
「それじゃあね」
「ああ、ただな」
「ただって?」
「アイドルの曲だけじゃなくてな」
美優は彩夏の提案に加える形で言うのだった。
「他の曲も歌わないか?」
「他の曲?」
「何かな」
「ううん、それじゃあ」
そう聞いてだ、彩夏は考える顔になりこの曲を話に出した。
「阪神優勝したから」
「六甲おろしか」
「それも歌う?」
出すのはこの曲だった。
「そうする?」
「その曲ならいいな」
美優はそれでいいとした。
「優勝記念でな」
「そうでしょ、胴上げだしね」
「それじゃあその時はあれよね」
琴乃もにこにことして話す。
「頭に阪神帽を被って」
「演出ね」
「それでどう?」
琴乃はにこにことしたまま話していく。
「いいと思うでしょ」
「ええ、確かにね」
彩夏もにこりとして琴乃に応える。二人の今の笑顔は同じものになっている。
「それじゃあね」
「阪神帽被ってね」
「ただ、阪神の帽は」
関西では誰もが知っているあの白と黒の帽子だ、とはいっても時代によってこの帽子もモデルチェンジしてきている。
「あるかしら」
「私持ってるけれど」
「私も」
「私もね」
「あたしも持ってるよ」
里香に景子、美優も持っていると答える、それも笑顔で。
「ちゃんとね」
「私も。けれどね」
彩夏も持っていることは持っている、だがそれでもだというのだ。
「皆お家に置いてるでしょ」
「あっ、だからなのね」
「そう、阪神と言えば帽子だけれど」
それでもだというのだ。
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