第五十三話 音楽喫茶その三
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「最近テニスでも下はスパッツとかじゃない」
「それが、っていうのね」
「嫌だって」
あからさまな言葉だった、実に。
「もうこの世の終わりだってね」
「そこまで言うのね」
「それだけ下にスパッツとかを穿いてると絶望するっていうわ」
「そういえばうちの弟も」
琴乃は自分の弟のことをここで思い出した言った。
「戦隊とかでミニスカートを見ていても下がスパッツだとね」
「嫌だっていうのね」
「スパッツとか半ズボンって何の意味もないって」
「琴乃ちゃんの弟さんもそう言うのね」
「そうなの、弟のクラスの男の子もそう言ってるみたいよ」
「スパッツってそこまで色気ないのね」
「そういえば確かに」
景子はジャージの自分の脚や腰のところを観ながら言った。五人共今はそれぞれの色のジャージである。
「スパッツって色気無いわね」
「半ズボンもね」
「ただ脚を見せているだけで」
まさにそれだけだ、脚は見せるだけでは駄目なのだ。
「色気も何も無いから」
「だからよね」
「そうよね」
「それでね」
琴乃はまた言った。
「うちの弟半ズボンとかは無視するのよ」
「それが皆なのね」
「そっちの弟さんのお友達もなの」
「そうなのよ、せめてね」
何かというと、せめて。
「ブルマじゃないとって」
「だからないだろ」
ブルマについてだ、美優は顔を顰めさせてこう言った。
「そんなのもうな」
「それ弟にも言ったわ」
「というか弟さんその目でブルマ見たことないだろ」
「私達の誰も穿いたことないしね」
里香も言う。
「見たこともないし」
「というかあれはもう伝説だよ」
言い伝えにしかないものだというのだ、ブルマは。
「アニメとかにしか出ないな」
「そうよね、もうね」
「ないだろ、本当に」
美優は里香にも答える。
「何で琴乃ちゃんの弟さんがブルマにこだわるんだよ」
「ないからじゃなしら」
琴乃は首を傾げさせてその予想を話した。
「だから余計にね」
「つまりあれね、激レアカードみたいなものね」
ここで言ったのは彩夏であった。
「手に入らない様なものだから」
「余計になのね」
「そうじゃないの?カードって普通にあるものは皆能力が高くてもあまり関心を向けないものじゃない」
「そういえばそうね」
「少ないものだから」
それ故にだというのだ、彩夏は言う。
「特に伝説になるものは」
「見つけることが不可能な位になると」
「しかもその能力が高いと」
それこそだというのだ。
「そういうことじゃないかしら」
「それがブルマなのね」
「男の子にとってはね」
「というか煩悩丸出し過ぎるだろ弟さん達」
美優はこのことの核心を衝いた。
「ブルマなんて穿く方にとっちゃ最悪だよ」
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