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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編 「雨が降る (前編)」
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自分を覆い隠してくれればいいのに。

ふと、そう思う。ISを動かすためにミノリやマヤ先生に散々手間をかけさせ、母国や家族、親友のためにやってやれることもない。皆は口には出さないが、時々「何故あんな男がIS学園に」という視線を感じることがある。
善意を持って近づくオリムラとホンネにやさしく接することも出来ず、未だ皆と一緒に行動することも出来ず、ISに乗れるようになったからと言って未だに武器を見ると吐き気が押し寄せてくる。


僕は、何も変わっていない―――

そのまま地面に仰向けに寝そべり、木の葉の隙間から垣間見える灰色に濁った空を見上げた。その色合いが白にも黒にも染まりきれない中途半端な僕を理解してくれているようで、少し気が楽になった。



「・・・Partirono le rondini♪」

ふと、母国の友達―――アングロに良く聞かされた歌を思い出し、口ずさんだ。

「dal mio paese freddo e senza sole♪cercando primavere di viole,nidi d'amore e di felicita♪」

アングロはこの歌が好きだった。僕にはどうしてか理解できなかったけど。
だってこの歌は「Non Ti Scordar Di Me(私を忘れないで)」・・・別れの曲だ。人と別れるのは悲しい事の筈だろう。もしも伯父さんやアングロ達と別れなければいけない日が来たら、僕はきっとその現実に耐えられない。なのに何で、って僕は彼女に訊ねた。

「La mia piccola rondine parti♪senza lasciarmi un bacio,senza un addio parti♪」

そしたら彼女はこう言ったんだ。

『大事な人の下を去ったのなら、きっとその人の目にはもっと幸せな場所が映っているんだと思うの。だから私は・・・その場に引き留めて心に嘘をつかせるくらいなら笑って見送りたいって思った』
『・・・それじゃあ、見送った人が幸せにならない』
『そうね。一緒にいられるならその方が幸せ・・・でもねベル坊?「自分が幸せになれなくてもいいや」って・・・そう思えるほど夢中になった相手なら、私はやっぱり笑って見送る女になりたいんだ』

・・・彼女の言うことはいつも難しい。でも、モニターで再会したアングロは笑っていなかった。
ならばやはり、ここは僕のいるべき所ではないのかも―――

「Non ti scordar―――」

「綺麗な歌声ね。でもオネーサンとしてはもう少し歌う場所と体勢を考え直した方がいいかなーって思うわ」

―――なんか変な人が来た・・・

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