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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編 「雨が降る (前編)」
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えの悪い木は伐り倒して新たな苗を植林する。生徒に万が一にも不利益が無いよう他にもさまざまな管理が行われている。
そう、この緑はいわばすべてが人の都合の良いように作られた「人工的な自然」。まるで自然のように見えるだけの人工物でしかないのだ。西欧圏ではまず見られない箱庭の作り方だろう。
人の手によって滅ぼされたイースター島の自然もどうかと思うが、人の手によって管理されないと形を保てない環境というのも如何なものだろうか。少なくともベルーナはそう考える。
ぱたぱた、とベルーナの着込んだ
合羽
(
かっぱ
)
に木の葉から流れ落ちた水滴が当たった。
木々の葉っぱが擦れ合う音。降り注いだ雨粒が木の葉を叩く音。濡れた足場に滴が落ちる水音。ベルーナはこれが好きだった。
人より心が弱くなってから、医者や友達に様々な療養を勧められた。その中でベルーナが最も好きなのが森林浴だ。とりわけ雨の日の森林浴がお気に入りだった。
森林と呼ぶほどではないが、それでもIS学園には結構な広さの林が断続的に広がっており、森林管理者が作った道のようなものも存在する。森への立ち入りは推奨されていないが、ベルーナはこっそりそこに入り込んでいた。
ズボンとセットになっている黄色い
合羽
(
かっぱ
)
と黒の長靴。どちらもそれなりに使い古した品だ。夏が近いだけあって流石に蒸し暑かったが、それでもベルーナは今日ここを歩きたかったのだ。
雨の森はいい。草木は皆騒がしく音を立て、人が入ってきたことなど気にも留めない。濡れた地面が放つ独特の匂いが、人工的な街並みから離れたことを実感させてくれる。水たまりを長靴で撥ねても大きな水滴が合羽にぶつかって大きな音が立っても、広い森は外界から自分を隠してくれるような気がする。唯でさえ雨雲で暗い日に木の葉で光が遮られた森の中を歩くと、不思議と暗闇を進む不安よりも自分を迎え入れてくれるという感覚が勝るのは自分でも不思議だ。
「昔、日が落ちるまで森の中にいて皆に心配されたっけ・・・」
夜の森は足元が見えないし、方向が分からなくなるので危険・・・らしい。僕は昔から夜目が利くのでそう言った感覚は分からないのだが、実際僕を探し当てたコーラは2回ほど転んで服がひどく汚れていた。
あの日以来、夜遅くまで森に入るのは止めた。皆にひどく心配そうな顔をさせた自分が嫌いになりそうだったから。でも、ここなら別に心配する人間はいないだろう。
「・・・いや、ミノリ辺りは心配するかもしれないから、やっぱり日没までには部屋に戻ろう」
足が疲れてきたベルーナは地面に座り込む。ぬかるんだ地面の感触が合羽を通してジワリと伝わってきた。普通の人間ならば不快に思うかもしれないそんな感触も、ベルーナだけが楽しめる雨の楽しみ方だった。
この雨がずっと続いて、
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