涙を揮って馬謖を斬る
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に何ともないの?じゃあ今の何ともない状態でティアと勝負してみてよ!」
「ナツー、血ィ!血出てる!」
いつも通りの騒がしさ。
ギルドは今日も騒がしく、楽しさで溢れていた。
「騒がしい奴等だ」
医務室の壁に凭れ掛かり、近くの扉の向こうからがやがやと聞こえてくる声にラクサスは呟く。
ベッドの上のマカロフが、ゆっくりと体を起こした。
「お前は・・・自分が何をしたか解っているのか」
マカロフの問いかけに、ラクサスは顔を背ける。
「ワシの目を見ろ」
が、マカロフに言われ、ラクサスはマカロフの目を真っ直ぐに見た。
「ギルドというのはな」
ベッドの上で胡坐をかき、マカロフは口を開く。
「仲間の集まる場所であり、仕事の仲介所であり、身寄りのねぇガキにとっては家でもある」
医務室の外。
そこではマカロフのガキ・・・ギルドのメンバー達が大パレードの準備をしていた。
「お前のものではない」
誰もいないベッドを間に挟み、祖父と孫は向き合う。
「ギルドは1人1人の信頼と義によって形となり、そしてそれはいかなるものより強固で堅固な絆となってきた」
ラクサスは何も言わない。
ただ黙ってマカロフの言葉を聞いている。
「お前は義に反し、仲間の命を脅かした。これは決して許される事ではない」
「解ってる」
マカロフの言葉に真っ直ぐ言い放つラクサス。
そして顔を下げ、自分の拳を握りしめた。
「オレは・・・このギルドをもっと強く・・・しようと・・・」
左拳を握りしめ、その拳を真っ直ぐに見つめるラクサス。
それを見たマカロフは小さく溜息をついた。
「全く・・・不器用な奴じゃの・・・もう少し肩の力を抜かんかい」
軽い足取りでマカロフはベッドから降りる。
「そうすれば、今まで見えなかったものが見えてくる。聞こえなかった言葉が聞こえてくる。人生はもっと楽しいぞ」
その言葉に、ラクサスは顔を背けた。
どこか辛そうなその表情は、今まで1度も見た事のない顔だった。
「ワシはな・・・お前の成長を見るのが生きがいだった。力などいらん。賢くなくてもいい・・・」
マカロフにとって、ラクサスはたった1人の孫。
その孫に力がなくても、特別賢くなくてもよかった。
「何より元気である。それだけで十分だった」
そう言って、マカロフは小さく俯く。
ラクサスは視線を落とし、その体が小刻みに震えた。
「ラクサス」
マカロフが呟く。
その握りしめた拳が震え――――――――
「お前を破門とする」
自らの手で、孫を破門にした。
今回の事は許される事ではない。たとえ家族であっても
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