第一部:蒼の鬼神
悪魔と契約した少年
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ろうか。この声が言うと、なぜ自分が生きることを諦めようとしたとしたのかが疑問に思えてくる。
『我ガ剣ヲ取レ、少年ヨ。汝ニ我ガ加護ヲ与エヨウ』
《ソレ》が言う。ゆらり、と目の前に《ソレ》が姿を現す。青白い甲冑を身にまとった、双角の騎士。少年は戦慄する。これは……《聖教》に記された、《世界の闇》――――その眷属たる、《悪魔》ではないか。
《絶対強者》によって滅ぼされた、《世界の闇》。その眷属が、なぜ今ここに――――
『生キヨ。汝ガ真ニ死ヲ迎エルベキ其ノ場所ヲ探スベク』
”悪魔”が嗤う。こっちへ来い、と手招きをする。
『汝ガ心ヲ尽クセル、生キル意味ヲ見ツケルベク』
「……なぜだ。なぜあんたは、俺の味方をする?」
『……汝ガ魂ヲ我ハ欲スル。イツカ強ク輝クデアロウソノ魂ヲ』
「……既成事実ってことかよ」
つまり、伝承にもある契約。契約者は自らの望みを叶えるために、悪魔に魂を売る。悪魔はその願いをかなえる力を与える代わりに、願いがかなえばその命を奪い去る。
不思議と”こいつ”に、魂を売り渡してみるのも面白いかもしれない、と思えた。どうせいらなくなる魂だ。ならば、少しでも「やりがいのある」命の使い方を見つけてやろう。
「……いいだろう。お前に俺の魂をやる」
『答エヨ。汝ガ名ハ?』
「俺の名は……」
少年は思い返す。かつて、奴隷牧場の親友が、自らにつけた名前を。つけられたその日から、『彼ら』以外の前では一度も名乗ったことの無いその名前を。
「――――俺の名は、ロード。クリフィックの解放奴隷、ロードだ」
『ロード……其ノ名、シカト刻ンダゾ。サァ、呼ブガイイ、我ガ名ヲ。我ガ名ハ――――』
バチ、バチ、と、ロードの周辺に青白い電光が走り始める。それらは一つの巨大な魔方陣をつくり出す。
「な、なんだ……!?」
男がじりっ、としり込みする。青白く光り輝く瞳で男を一瞥し、ロードは脳裏に閃いたその名を呼んだ。
「『――――《蒼炎燐光の鬼神》!!』」
バチィッ!というひときわ大きい電光と共に、白い大剣が、ずるりと引き出された。
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