第百五十一話 四国と三河その五
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「明らかにな」
「はい、慣れています」
「妙にまで」
「この動きは忍の者でしょうか」
「似ていますが」
「ふむ。雑賀か」
元親はすぐにこの忍達の名を出した。
「まさか」
「雑賀衆は本願寺に帰依していますな」
「だから今もこの讃岐に来ている」
「そうだというのですな」
「うむ、そう思う」
雑賀衆は鉄砲を使うことでも有名だ、それが為に忍達の中でも伊賀や甲賀、風魔と共に名を知られているのだ。
だが、だ。元親と共にいる非有がこう言うのだった。
「しかしです」
「それはないか」
「雑賀衆は今は石山御坊に入り寺の守りについているそうです」
「だからか」
「はい、こちらにこれだけの数を割いているとは」
「考えられぬか」
「そこまでの余裕はない筈です」
雑賀衆にというのだ。
「忍の者はそこまで多くはないので」
「だからですな」
「はい、それはないかと」
こう言うのだった。
「流石に」
「しかしこの動きは」
「忍のそれに近いな」
「だからこそです」
余計にだ、わからないというのだ。非有から見てもだ。
「これは一体」
「この強さは」
「わからん」
全くだというのだ、こう話してだった。
彼等はそこに謎を感じ取っていた、そのうえで戦うのだった。
確かに十河城を囲んでいる門徒達は多く鉄砲なりを持っている者達も多かった、しかし元親の後ろからの奇襲と中に入っての攻撃で彼等は崩れそこにだった。
外の戦を見て城を守っていた兵達も出て来てそして。
彼等の攻撃も受けて門徒達を攻める、そうしてだった。
十河城の戦は終わった、向かって来る者達は全て倒し戦は無事終わった。しかしそれでもだった。
讃岐での戦はこれが大きな転換点となり元親は十河城や伊予との境の兵も加え他の城も次々と救っていった、そのうえで。
讃岐の門徒達を収めた、そして堺に向かおうとする元親達に讃岐と阿波の一向宗の僧侶達が来た。そうしてだった。
彼等は頭を下げてだ、こう言うのだった。
「この度は出来れば我等の命で収めて下され」
「どうか民達には何も手出しをしないで下さい」
「あの者達はもう二度と一揆を起こしませぬ」
「ですから」
「安心せよ、御主達も二度と乱を起こさぬならそれでよい」
元親は己の前で頭を下げる彼等にこう告げた。
「命は取らぬ」
「何と寛大なお言葉」
「そう仰って頂けますか」
「うむ、それでよい」
大人しくしているのならというのだ。
「それならな」
「でjは、我等も」
「それで」
「うみ、これまで通り民を救うことに励め」
彼等の本来のなすべきことにだというのだ。
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