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SAO編−白百合の刃−
SAO12-もう一人の副団長
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リーナさんが強そうなのはわかった。聞いた通りだと私に勝てる可能性あるのかなって、弱気になっちゃったけど、私にだって勝てる可能性はあるよ。イリーナさんとの駆け引きで勝って、上手く『絶対回避』を使えば勝てる」
「イリーナさんは何度か私とアスナで戦ったし、アスナと組んで戦ったことあるけど、一分も持たなかったわ」
「え!?」

 ちょっと、自信持って勝利宣言を伝えたのに、士気を下げるようなことを今言うのか!? 

「だから、『絶対回避』を決めないと……負けるわよ」
「わ、わかっている」

 多分、ドウセツが言ったことは血聖騎士団に所属していた頃のことだろう。それでも、攻略組の上位に入る二人が一分も持たない。そして、ドウセツとアスナのことだ、連携技も使っているだろう。それでも勝てないってことは、複数相手でも対応できる何かを持っているってことになる。
 私が勝てる可能性、とりあえず『絶対回避』を使用せざるを得ないだろう。だけど、ただ使用するだけじゃ駄目だ。『絶対回避』はイリーナさんの隙を作るために使用すること、それがイリーナさんに勝てる一つの方法。
 今はそれしか思いつかないから、あとは実戦で学ぶしかない。それができるといいんだけど。

「そう言えば……」

 ドウセツが何を言いかけたが、珍しく躊躇(ちゅうちょ)するも、すぐに平常心に戻して発言した。

「貴女、前に大人数は苦手なこと言ってきたけど、大丈夫なの?」
「それって負けた場合でしょ? ……もしかして、心配してくれているの?」
「いいから答えなさい」

 否定するかも思ったら無視ですか……否定しないってことは、本当に心配しているのかな? 負ければ私はギルドに入ることになってしまう。ソロではなくなってしまう。
 
「こうやって心配してくれる人がいるんだから、負ける気なんてないし、ドウセツが一緒にいてくれるおかげで大丈夫だよ」

 おかえしにドウセツの前に立って、笑顔で言い放ってやった。
 すると瞬時にドウセツは私を抜き、早足になって進んでいく。

「あれ? ドウセツ……もしかして」
「照れてない」
「いや、まだ何も言ってない」
「思い込みもいいところだわ。変態化させるようなゲームのやり過ぎよ。少しは川の水に頭を入れ続けたらどうなの? 永久に」
「溺れろって言う意味!?」
「そうよ」
「そうなのかよ!」

 後ろ姿で表情は伺えないけど、なんとなくドウセツの別の一面が見られた気がする。

「この際、負けて人間恐怖症地獄でも味わえばいいのよ」

 どんな地獄かよ、と思いつつ。

「嫌だね」

 笑顔かつ全力で否定してやった。


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