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久遠の神話
第七十六話 富を求めるならその五
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 それでだ、こう言ったのである。
「そういうのをもらえるか」
「じゃあ果物の盛り合わせだね」
「それだ」
 それをもらおうとだ、中田も言った。
「値段次第だがな」
「果物の盛り合わせなら今は安いよ」
 王は微笑んで中田に述べた。
「丁度いい具合にね」
「そうか、じゃあもらうか」
「それで栄養のバランスも取るんだね」
「食うにはバランスよくたっぷりな」
 かつて四百勝を達成した金田正一がいつも言っていたことだ、金田はスポーツ選手だがこれは戦いにおいても同じであるのだ。
「だからな」
「デザートはそれにするんだね」
「頼むな」
「じゃあ今から切るよ」
 王自身が果物を切るというのだ、そうした話をしてだった。
 王は厨房に戻りそこで果物を切る、ビタミンが豊富な苺やキーウィ、ネーブルといったものが大量に切られ皿の上に盛られてだった。
 中田に持って来られる、今度持って来たのは店のウェイトレスだった。中田は切れ長の目に黒髪の彼女を見てこう言った。
「王さんはもうか」
「はい、他のお客様が入りましたので」
 紅の中華風の服にズボンのウェイトレスが応える。見れば店は今は中田だけでなくカップルの客も入っていた。
「そろそろ忙しくなる時間ですし」
「そういうことだな」
「はい、王さんは厨房の中に戻られてです」
 料理を作っていくというのだ。
「申し訳ないですがお話は」
「ああ、後だな」
「それで御願いします」
「わかったよ、じゃあ今日はデザートを食ったらな」
 これで帰るとだ、中田も答えた。
 それで今はそのデザートの盛り合わせを食べて店を出た、そうしたのである。
 聡美は自分の家のリビングで智子、豊香と話をしていた。その中でコーヒーをお茶菓子のクッキーを食べながら。
 そのうえでだ、こう二人の女神に言ったのである。
「アテナ姉様のお話から考えますと」
「ええ、今はね」
「重力の剣士は選挙次第ですね」
 スペンサーについてはこれでいいというのだ。
「それで彼は戦いから降ります」
「そうなりますね、確かに」
 豊香も聡美のその言葉に頷いて答える。小さな身体を黒いゴスロリのドレスに包み右手に白いコーヒーカップを持っている。そのうえでそれぞれの普段のファッションの二人に言ったのである。
「重力の剣士は」
「そして今はです」
「金の剣士よ」
 智子が言う、王のことを。
「彼をどうするかね」
「はい、そうです」
「彼については簡単に進みそうよ」
 智子は目を光らせて言った、知的なその目を光らせて。
「だからね」
「ここはですね」
「彼からですね」
「そう、確実に終わらせることから進めていくのよ」
 それがいいというのだ、ことを為していくには。
「だからまずはね」
「二人ですね
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