アイングラッド編
SAO編
《圏内事件》1
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。年上の人も自分と同じか、それより下の子も。
だが、それを異常なことだと認識してからも抵抗はなかった。
選ばれた人間だという驕りもなかった。
それは周りも同じ。俺達は成るべくして成った。
それがいつしか全員の共通の意識だった。
今思えば、その時既に感覚が麻痺していたのだろう。血と汗と鉄と火薬の匂いに酔っていた。
8歳にして人の命を奪った。それからこのゲームが始まるまでの約4年の内に直接間接問わず、奪った命は数知れない。ここでも既に2人の犯罪者を葬った。
(……人を殺めることが恐くないのか?)
何度そうやって自問しただろうか。その答えはいつも、
(判らない)
祖父に、年長者に、時には同業者に訊いてみる。全員の答えは一様に判らないだった。
下で眠りこけているお姫様と、それを見て呆れている黒ずくめの剣士を見下ろす。唐突にデスゲームに囚われた犠牲者達。
「……お前達は、判るか?」
「ん?何か言ったか?」
「……いや、何でもない。……飯買ってこようか?」
「頼んだ。俺サンドイッチ」
「りょーかい」
まあいい。今はこの瞬間を生きていれば。
夕方になり、辺りは金色の夕日に染め上げられた。
こんな時間になるまでキリトがここにいるのは放置しとくとハラスメントやPKの対象となるのを防ぐためというのもあるが、アスナが目覚めた瞬間にどんな顏をするかということも楽しみにしているようだ。
「……性格悪いなお前」
「お前に言われたらおしまいだ」
そんなことを言っている内にそよ風が彼女の鼻をくすぐり、くしゃみをした。
「……うにゅ……」
……おい。なんだ?今の声……こいつが出したのか?レアすぎるだろ。俺的にはこの時点で爆笑ものだ。
アスナは数回まばたきし、左右を見て、今はキリトを見て百面相をしている。
「おはよう。よく眠れた?」
こいつ完全に楽しんでやがる。
アスナの右手がわずかに動く。が、歯をくいしばって得物を抜くのを抑えたようだ。
「……ゴハン、何でも幾らでも1回おごる。それでチャラ。どう」
「よかったな、キリト」
「……っ!?」
音も無く彼女の背後に降り立った俺を見て目が驚きで見開かれる。別に気配を消していたわけではないが、気づいていなかったようだ。
「じゃあな、キリト。お前も何か1回俺にご馳走すること」
何でだよ??という顔をするキリトだが、俺は今日の昼飯を奢るとは言っていない。
「……待ってください」
「何かな?」
俺はもう満足な時間を過ごしたのでとっととこの場を去りたいのだが。
「あなたも来てください」
「は?」
何だ?今日は何が起
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