第49話 ライバル気取りもほどほどに
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達が現れてくる。
皆殺気にギラついた目をした浪人達だった。廃刀礼のご時世にも関わらず腰には立派とは言い難いが刀を帯刀している。
目線からして浪人達は明らかに銀時を直視している。だが、何故銀時を狙う必要があるのか?
自慢ではないが彼等に喧嘩を売るような行為は今回はした記憶がない。
ならば辻斬りか? だとしたらはた面倒な事この上ない。今日は厄日続きになりそうだ。ずぶ濡れになった後で今度は辻斬りに出くわすとは、これを厄日を言わず何と言えば良いのやら。
「その赤子を渡してもらおうか?」
浪人達の中、真ん中に居た男が一言きり出して来た。銀時の目の前、丁度まん前に居たかさ帽子を被った髭面の浪人だ。見ればその浪人の方が他の浪人に比べて若干だが着物や得物も良いのを持っている。が、所詮若干なので大した差はない。そんな浪人が銀時に向かいそう告げてきた。赤子、つまり銀時の横で歩行器を使って歩いている子を渡せと言って来たようだ。
正に銀時にとっては願ってもない発言と言えた。面倒毎が一つ消える。こいつらがこの赤子を使って何をするかなど知った事じゃない。早くこの赤子を渡して面倒毎からおさらばしたい。そうした後で身軽になった状態でなのはを探せば尚の事早く事が片付く。
服に違和感を感じた。見ると、赤子が銀時の着物を掴んで引っ張っているのだ。まるで赤ん坊が自分から離れようとする親にせがむように。そんな赤子の姿を見た銀時の脳裏で、過去の映像のフラッシュバックが起こった。
妙な親近感を感じる。この赤子を見ていると、まるで自分が過去にタイムスリップしたような錯覚を覚える。そう、あの時。自分がなのはを育てていた頃に戻ったような錯覚を覚える。
やれやれ、結局俺も父親って奴か。
例え赤の他人だったとしても子供は子供。その子供をこいつら浪人に渡して果たしてどんな末路を迎えるのか?
そんな事を想像してしまうととても赤子をこいつらには渡せない。
「どうした? 渡すのか渡さないのか? 返事位したらどうだ」
「そんなに返事が欲しいか? それならお前等のお望み通りにしてやるよ」
言うなり赤子の服を掴み挙げる。そのまま予備動作もなしに赤子を空高く放り投げた。浪人達の殆どが頭上を飛ぶ赤子に目線が言っている。
馬鹿野郎共が、腹ががら空きだ!
無言のまま腰に携えていた木刀を構え、一足の如く浪人達の中へと銀時は雪崩れ込んだ。浪人達が眼にしたのは、銀時が後ろに居た瞬間だけだった。その後、全ての浪人達は糸の切れた人形の様に地面に倒れ伏してしまった。
ドサリと重みのある落下音と砂埃が辺りに巻き起こる。それらが銀時の背後で起こっている現象だが、銀時にしてみれば関係のない事だ。
この一連の動作は別に計画された技でも策略でもない。積み重ねられた実戦から編み出した戦法の
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