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駄目親父としっかり娘の珍道中
第49話 ライバル気取りもほどほどに
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がする。
 一体何処で見た赤子だっただろうか?
「この赤ん坊。銀さんが見つけた子にそっくりですよ!」
「もしかして、銀ちゃん何かに巻き込まれちゃったりしちゃったりしてないアルかぁ!?」
 新八と神楽が心配そうな声をあげる。
 あぁ、なんて事だ。なのはは激しく後悔の念に苛まれた。自分があの時家を飛び出していなければ、銀時は外を出歩く事などなかったと言うのに。
 今銀時はあの老人の息が掛かった危険な浪人達がうろつき回っているに違いない。まぁ、銀時の腕前ならば浪人位何ともないだろう。だが、今の銀時には赤子と言う重荷が背負われている。
 果たして何所まで立ち回れるだろうか?
 なのはの胸中が不安一色に染め上げられていくのに早々時間は掛からなかった。顔色がどんどん暗く沈んで行き、目線が定まらず右往左往している。それほどまでに先ほどの写真の件がショックだったのだ。
 しかし、そうなると疑問が残る。そもそもあの老人は何者だったのだろうか? 何故あの赤子を狙っているのだろうか?
 話に参加していなかっただけに途切れ途切れとなった情報が頭の中に散らばってしまっている。ピースの揃っていないジグソーパズルを完成させようとしている感覚を思い起こされた。
 これでは次に何をすれば良いのか判断が出来ない。まずは欠けたピースを探さなければならない。それからどう行動を起こすか考えるべきだったのだ。
 闇雲に動いても結局は時間の無駄にしかならない。焦りは禁物だ。
「ねぇ、新八君。さっきのお爺さんって誰なの?」
「あぁ、あの人はね、橋田賀兵衛って言ってね、橋田屋って言うこの辺じゃ有名な商人なんだよ。ほら、あそこ……」
 言うなり新八は上空を指差した。彼の指差す方向。青い空が支配している上空に悠然と聳え立つ一際大きな建物。言うなれば高層ビルが存在感をかもし出していた。他のビルよりも頭二つ分大きい。
 その大きさから橋田屋が如何に絶大な力を持っているかが想像出来る。そして、力を持っていると言う事はそれ即ちその力を存分に振るってくると言う見解に行き着く。
 あの老人の一声で一体どれだけの浪人が動き出すだろうか。100人、それとも200人?
 それだけの浪人達が銀時の元に迫ったら……
「あのビルが橋田屋の所有してるビルなんだよ。分かった? なのはちゃ……」
 説明を終えた新八が彼女の方を見た時には、既に其処に姿はなかった。場所を知るなり即座に行動を起こしたのだ。この行動力の速さは流石銀時に育てられただけの事はあると感心させられる。
 しかし、感心してばかりもいられない。なのは一人で橋田屋に乗り込んだとあればそれはかなり危険な事だ。
 今、あの高層ビルの中では、一際不気味な影が蠢いているのだから。




     ***




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