暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
小さな相棒
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黒猫は一声鳴く。
それを見て、レンは再び溜め息をつき、どうしてこうなったんだろうなー
と、昨日のことを頭に思い浮かべてみた。
昨日、レンはいつものように第二十五層の攻略をやり、気が付くと時刻は午後八時を回り、完全に辺りは真っ暗になっていた。
しかし、そんな状況でもレンはあらかじめ買っておいたピーナッツの袋を開け、それをポリポリとかじりつつ、鼻歌も歌っていた。
もちろん周囲への警戒は怠らない。
そんな時、視界の隅にカーソルが現れた。
色は殆ど白に近いペールピンク、モンスターだ。
この赤色の濃淡で、敵の相対的な強さをおおまかに計ることができる。どう足掻いても勝てない、圧倒的レベル差のあるモンスターのカーソルは血よりも濃いダーククリムゾン。
対して、何匹狩ってもろくに経験値を稼げない雑魚モンスターは殆ど白に近いペールピンク。
この場合は前者だ。
ちなみに、同レベルの適正な敵が、ピュアレッドで表示される。
レンは戦うにも値しない相手だと思い、そのまま無視して通り過ぎようとした。だが、あろうことかそのカーソルはこちらに急速に接近していた。
いくら弱い敵でも無抵抗に攻撃を受ければ、たちまちレンのHPは危険区に落ちるだろう。
仕方なくレンは腰裏に差した自らの武器を抜いた。
それは、
短剣
(
ダガー
)
にしては随分刀身が長く、一般的には短刀と呼ばれている物だ。
短刀《小太刀》
巨大なサイのようなネームドMobを倒した時に、ドロップした物だ。
ダガーとしては最長の刀身の切れ味は凄まじく、今ではレンの相棒であり重要な右腕になっている。
それを構えつつ、レンの左手はなおも意地汚くピーナッツの袋に伸びている。だが、その幼いくりくりとした目は、カーソルを鋭く見つめている。
しばらくして、レンの見つめている草むらが揺れた。
そこから現れたのは、一匹の黒猫だった。
それだけならば、レンは躊躇いもなく瞬殺するだろう。だがレンはそれをしなかった。それは何故か。
それは、その黒猫が見るからにぼろぼろで今にも消滅しそうだったからだ。そして、主な理由は───その目。
こちらを見るその目は、決して敵対的ではなく、あまつさえ友好的な色さえ見えた。
そんなはずはない、とレンが目をごしごしと擦って、目を開けて見たのは、無防備に近寄ってくる黒猫の姿だった。
しかも、その大きな目が見ているものはレンではないようで、その視線をレンが辿ると、どうやら黒猫はレンの持っているピーナッツの袋を見ているようだった。
そこでレンは袋の中に残っていたピーナッツを左手でつまみ、黒猫の前に差し出してみた。
すると黒猫は少し匂いを嗅いだ
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