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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第二十三話
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主の兄が、戻ってきたらいきなり倒れ込んで女性に担がれているのだから。するとそこに、なのはからシグナムに念話で連絡が入った。
『シグナムさん、今大丈夫ですか?』
『高町か?どうした?』
『すみません、あれじゃ全部吹き飛ばすのには足りなかったみたいなんです!』
「なんだと!?」
なのはからの念話に応答していたシグナムは、つい大声を上げてしまった。それに対して周りが一斉に彼女の方を向いたが、彼女自身は繭の方を見た。シグナムはそれを確認すると、嘆息してなのはに避難勧告を出した。
『繭は未だ健在です!私、どうしたら……』
『……そうか、わかった。アルフとテスタロッサを連れてすぐそこから離れろ』
『……わかりました』
そして念話を切る。なのはの最後の声には、悔しさと申し訳なさでいっぱいと言いたげであった。
「シグナム?」
「……恐れていた事態が起きてしまった」
「まさか……」
「ああ……繭を覆っていた魔力を吹っ飛ばしただけで、どうやら健在らしい。それどころか、まもなく中身が暴走するぞ」
まばゆい光を撒き散ら煎しながら解けた繭から現れたのは、男性とも女性ともわからぬ人の形をしたシルエット。ただ黒一色に染まったその姿から、禍々しい気のような魔力が濃厚に立ち上っている。今のところはまだ動く気配がない。
「あれが、闇の書を闇の書たらしめる闇か……ふむ、こう聞くと紛らわしいな」
「確かにな。だが油断はするなよ」
「むしろこれだけの魔力を感じて油断できる奴がいるなら見てみたい」
「それもそうか」
闇の書に蒐集された魔力をほぼ全て持ってそこに存在するのだから、並の魔導士なら恐怖を感じるのが当たり前。それどころか、一般人でもなんとなく近づきたくないという雰囲気がわかるくらいに撒き散らされる殺意。それを感じ取ったか、不完全ながらも竜二が目覚めた。
「やれやれ、ようやくお目覚めか。俺の体は」
「主……大丈夫ですか?あまりご無理は……」
「阿呆。こんな事態でいつまでもボケっと寝とれるかい。とりあえずおろしてくれや」
「はい」
竜二はアスカの肩から降りると、そのままシグナムの元へと向かう。
「よう」
「兄殿か」
「ああ。すまんな、きた瞬間ブッ倒れて」
「それは構わないが……大丈夫なのか?」
「少しでも寝れればなんとかなるようになっとんねん人間の体は。で、状況は?」
「……最悪の事態の一歩手前と言っていいだろう」
シグナムはそう言うと、黒いシルエットを指差した。竜二もそれを見て顔をしかめる。
「高町の砲撃が直撃した結果、あれが出てきた。おそらくあれを倒せば、闇の書の防衛プログラムは一旦停止する」
「その間に、アスカが闇の書にアクセスして防衛プログラムを解除、切り離すっ
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