対面
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って。待ち合わせの喫茶店に行ったら、和谷と一緒にヒカルもそこに座っていました」
「何で俺が・・・」
「一対一で会うのは少し抵抗があったようです」
ヒカルにこうやって話すのは変な気分だ。でも同時に、とても懐かしくて自然と笑顔になった。射し込
む太陽の光が植物を照らして、それも私を生き生きとさせた。そんな場合ではないのに。今思い返せば、ヒカルと出会った時、何故ヒカルが私を佐為と呼んだのだろう。和谷はhujiwaraというユーザー名しか分かっていないはずだった。私の空耳?でも、今でも耳に残っている。
「それ以来頻繁にヒカルに指導してもらいました。あと、ヒカルと知り合ってから、塔矢さんや伊角さん達とも交流し始めたんですよ」
「塔矢、とも・・・?」
「はい。それから、塔矢先生とも」
ヒカルは珍しそうに私を見た。私に興味が出てきたようで、質問してきた。
「藤原さんは、そんなに強いの?塔矢先生とも、親しかったの?」
それに私は言いよどんだ。私の強さ・・・。今、それについて考えだしたら止まらなくなる。私はぶん
ぶん首を振って考えを吹き飛ばそうとした。
「自分ではよく分かりません。塔矢先生とは、ネット碁で一回対局してから実際に何回か打ちました」
「塔矢先生、ネット碁やってたっけ・・・」
ヒカルは首を傾げた。一点を見つめて、何か変な様子だ。
「俺が、やらせたんだ」
「ヒカル?」
私がヒカルの顔を覗き込むと、ヒカルはハッとして私と目が合った。あまり顔色が良くなかった。彼は私に背を向けた。そして中庭を抜けて、病棟へ早歩きで、私を残して去っていった。
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