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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第二十二話
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名乗った覚えがない。そもそも名乗るべき名前がないのだから、仕方がないといえば仕方がない話だが」
「名前が……ない?」

 シグナムは驚いた。そもそも名乗りあった記憶がないのもそうだが、守護騎士たる自分たちでさえきちんとした名前があるのに、管制プログラムたる彼女に名前がないことが信じられなかったのだろう。

「まぁそれもこれまで。つい先程、主からかけがえのない素敵な名前を頂いた。故に私は、これからはこう名乗ろう。みんな、聞いてくれ」

 そして彼女は、シグナムだけでなくその場の全員に高らかに名乗り上げた。

「私は、最後の『夜天の主』に仕えし守護騎士ヴォルケンリッターが一人、そして、『夜天の書』の管制プログラムである祝福の風、リインフォース。あの書は君達が呼ぶような『闇の書』などという名前ではないし、我らが主八神はやては決して『闇の書の主』ではない。誇れ、騎士達よ。アレを追い出した今、我らは既に闇の存在ではない」

 その姿は、まさに王か何かと言わんばかりに、威厳に満ちた姿であった。



 一方その頃竜二は、未だに戦闘中であった。空中で剣戟を繰り広げつつ、距離が開くたび見舞われる竜二の銃撃を全部魔力シールドで防ぐ。さっきから延々とこれの繰り返しである。

「クッソ、これじゃジリ貧やないかい……」
「諦めろ青年。貴様では私に勝てない。少なくとも、今のままではな」

 その言葉が竜二をさらに焚きつけたのか、突きの構えをとり、突進のための体勢をとった。

「舐めんなよ……勝負はまだついとらんで!」
「その意気やよし。だが足りぬ!」

 それを見た男もさらに激しい剣戟に移る。

「遅い遅い遅い遅い!」
「くそっ、くそォッ!」

 しかし、竜二は防戦一方。対策を立てようにもどこに剣が来るか予測するのに必死で、対応するのがやっとといった状態では、考える余裕がなかった。今彼の頭の中は、ある意味空白状態とも言える。右かと思えば左から、上かと思えば下から。袈裟切りかと思えば突き、振り上げ。さらに回転切りなども効果的に使ってくる。そしてつばぜり合いになると、力の差なのか押し負けて飛ばされる。

「ホンマ強いわ……勝てると思えるところがない」
『余裕ないですよねぇ』
『あるかそんなもん。ついていくだけで精一杯や』
『そこが不思議なんですよ。倒すのが目的ならわざわざなんとかついていけるところまで「落とす」必要なんかないのに、って』
『まだ上があるんかい……』

 アスカのその言葉に、竜二は内心放り出したくなった。しかしその衝動を放り投げて冷静に考える。

『てことはあのおっさんの目的は時間稼ぎか?』
『わかりません。これが彼の本当の全力なのか、主の対応力が予想以上に早くて驚いているのか……でも、ある意
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