第8話 「決戦と真実」
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高町はすぐさま手元に残っていた魔力弾を放ったが、テスタロッサはそれをあっさり見切った。高町が防御魔法を展開するのと同時に、テスタロッサの攻撃が防御魔法に衝突し凄まじい音を撒き散らす。
競り合いが続く中、テスタロッサの後方から桃色の魔力弾が飛来する。高町は避けられることを想定して放っていたのだろう。
魔力弾の存在に気がついたテスタロッサは、左手に魔力弾を生成。それを後方の魔力弾、ではなく高町目掛けて放った。高町は海面の方へと吹き飛び、テスタロッサに迫っていた魔力弾は彼女に直撃する直前で消滅した。高町がビルを突き破って海に落下すると、魔力弾が爆ぜたのか水しぶきが上がり、煙が立ち込める。
『……ふぅ』
テスタロッサは付近のビルの屋上の柵に着地し、短く息を吐いた。その次の瞬間、桃色の光が瞬く。
それに気が付いたテスタロッサが飛び退くのと同時に、彼女に煙を晴らしながら向かって行った桃色の閃光がビルの一角を吹き飛ばした。
高町の成長速度は驚異的であるが、やはり実力はテスタロッサのほうが上に思える。だがふたりの実力の差が前ほどはない。それに高町の砲撃魔法は高威力。簡単には勝つことはできないが、勝てないわけではない。
『知恵と戦術はフル回転中……切り札だって用意してきた。だからあとは、負けないって気持ちだけで向かっていくだけ! でしょ?』
高町の気持ちは全くといっていいほど折れていないようだ。あの心の強さが彼女の強さの源かもしれない。
再び白と黒の魔導師の空中戦が始まった。
高町がテスタロッサのあとを追う形で攻撃を仕掛けていくがテスタロッサは高度を上げながら避け続ける。雲を突き破った先でテスタロッサは後方に宙返りするように軌道を変え、自分を追って現れた高町の背後を取った。
テスタロッサは魔力弾で牽制しつつ、近接戦闘に持ち込んだ。高町は簡単に距離を取ろうとせず応戦。ふたりは螺旋状に上昇しながら幾度もデバイスをぶつけ合ってから互いに距離を取った。
『……ここで私が負けたら母さんを助けてあげられない……あの頃に戻れなくなる!』
簡単に勝てないと顔を歪めていたテスタロッサだが、何かしら思い出したのか彼女の表情が一段と引き締まった。瞳には高町に負けないほど強い意志が宿っているように見える。
ふたりの激しい戦闘は終わらない。
戦闘が長くなればなるほど、彼女達の思いの強さは増して行っているようにも見える。だが、ふとテスタロッサの表情に変化が現れた。
『アリ……シア? ……違うよ、母さん…………』
力の方向がずれたのか、テスタロッサは防御魔法を展開していた高町の隣を抜けて行った。静止するのと同時に、迷いを振り払うかのように頭を激しく振って高町へ視線を向けた。彼女の瞳には必ず勝つという意思が見
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