暁 〜小説投稿サイト〜
TRICKSTER
第一部
湖の畔で会いました
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想現実は、参加者にとっての現実へと姿を変えた。



 デスゲーム、と呼ばれる世界に変わってから、数ヶ月。
 その時のことを思い出していたわたしは、第27層の迷宮にある安全エリアで何をするでもなく座っていた。
 暫くそうした後、腰を上げて先に進む。
 今のレベルは45で、この迷宮なら余程油断しない限り殺られることは無い。
 何より、背中の相棒の存在が一番大きい。
 柄から刀身まで全て白いこの長刀、名前は銘無し。
 銘が無いと書いて、ななし、と読むらしい。開発者も読めない人がいるかも知れないと思ったのか、括弧で読み方が書かれていた。
 結構早い段階で手に入れた武器で、刀スキルは手に入れていたからずっと使っている。武具店を経営しているリズベットに強化してもらったりもしているから、今は結構強くなってる。
 そう言えば、初めて強化した時リズが言ってたっけ……SAOに武器を強化するシステムは存在しないわ、って。でも、モノは試しと言うことで、持っていた材料と一緒に打ってもらうと出来たんだよね。他のもどうなのか試そうってことになって、結局銘無ししか強化できなかったけど……どうしてだろ? 
 可笑しいことは、まだある。攻撃を受けても、本来は不快でしかないみたいだけど、わたしは打撃を喰らえば鈍い痛みを感じるし、刃物で斬られたら鋭い痛みを感じる。現実のソレと遜色無い程に。最初はそういう仕様なんだって、疑いもしてなかったけど……。
 多分、バグって言う奴だと思う。でも、ログアウトが出来ない今は、直すことも出来ないよね。
 まぁ、このバグのお陰で回避には自信があるけど。
 なんてことを考えながら進んでいると、前方に5人組みを見つけた。
 壁を見ていて、そこが開いた所を見ると隠し部屋だと思うけど……あそこは。
「そこの人たちー! その部屋、トラップがあるよー!」
 できるだけ大きな声で言うと、黒髪の少年と紫っぽい髪の少女がわたしを見た。
 でも3人には聞こえなかったのかも知れない。
 中に入ってしまっていた。
 全力で駆け出し、中に入った2人に続いて扉が閉まるギリギリで駆け込む。
 3人の姿は、どこにも無かった。
「いやっ……!」
「っ! うぁああああああ!!」
 きっと、ギルドの仲間だったんだ。
 少女は膝を着き、少年は叫びながら敵を薙ぎ倒している。
 銘無しを抜くと同時に、背後から襲い掛かってきた2体のゴーレムを胴から叩き斬り、回転しながら振り回して周囲の敵を一掃。
 少女を抱えて跳躍する。
 今の少年に何を言っても、きっと聞こえない。
 仲間が目の前で殺られたんだもん。わたしも平然としていることは出来ない。
 とにかく、今はここを出ないと。
 周りが見えていない少年から距離を取り、少女を守りながらゴーレム達を倒し
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