今だ見ぬ明日に
グッバイ日常
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た。
「あいつは都市伝説上の生物なのか」
「ああ。海外じゃ結構有名なやつ……見た奴が血吹き出して死んだり、瞬間移動したり、能力も同じだった」
「それは収穫だな。ならず者には他にも江戸時代の妖怪と同じ外見、同じ能力を持った個体がいる。恐らくスレンダーマンもその一種だろう。つまり江戸時代の妖怪伝説や現代の都市伝説はフィクションなどではないということだ。ふふ、ワクワクするな」
哲は長く伸びた直毛をかきあげる。整った顔が美しく笑った。こいつの知的好奇心は一体どこへ向かっているのだ。健はいささか辟易した。
「そうだ、それと【スータブル】ってのは人間なのか?」
「紛れもない人間だ」
「じゃあなんでお前は……なんつーかこう……そんな人間離れしたことができるんだ?」
「ああ、さっきの大ジャンプか? あれはただ単純に人間の中の【ハル】を有効活用しただけだ。やろうと思えば誰でもできる。神に選ばれるという絶対条件があるがな」
「は? もっと一般人に優しく説明し――」
「一般人? お前まだ自分が一般人だと思ってたのか?」
哲がバカにしたように健をあざ笑った。
次の瞬間、健の視界の端にあった高層ビルの屋上ドアが勢いよく音を立てて開いた。中からわらわらと警官隊が押し寄せてくる。
やはり。あれだけの人間離れしたジャンプでこの人口密度の高いオフィスエリアまで辿り着いたんだ。一般人に目撃されていない訳がない。健は哲の計画性を疑った。
「おい、健」
こちらへと歩み寄ってくる警官隊を横目に、哲は健に耳打ちした。
「正体掴まれるとやばいから俺はここで逃げる。お前はなんかこう、色々どうにかしてこっから逃げろ」
そう言うやいなや哲は隣のビルへと飛び移っていった。健は彼の人間性も疑い始めた。
「……どうしろと」
五人の警官が距離を詰めてくる。その間五メートルほど。その中の一人は「無駄な動きは止めてそのままでいろ!」と高圧的な態度で声を荒げている。このまま掴まれば、温厚な弁解など臨むことなく自分は不法侵入罪やら何やらで最低でも停学処分、下手を打てば退学だって免れないだろう。どうしても逃げおおせなければ平穏な人生はここで終末を迎えて――いや、既に迎えているのだが――しまうだろう。
さて、どうすればこの苦境を超えられるか。打開策を考えるために脳みそが動き出したその瞬間。健の脳裏に先ほどの哲の言葉が響いた。
――一般人? お前まだ自分が一般人だと思ってたのか?――
何故哲がスータブルでも何でもない、ただの一般人に全ての事情を話したのか。先ほどから健は疑問に思っていた。
その答えが、今出た。それは――
「うおおおおおおっしゃああああああああ!」
思い切って健は警官隊に向かってダ
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