第48話 「嵐の前触れ」
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の思惑は、今までのところ、うまく行っていた。俺が改革を実行するまでは、な」
なるほど、皇太子殿下が立った事で、地球教の思惑が外れだしたのか……。
しかし、それとハイネセンに出向く事と、何の関係があるというのだろうか?
「卿には、対地球教に関して同盟と協議してもらう。帝国だけではなく、同盟側にとっても死活問題だろう。共に共通の敵がいることを知らせてくるんだ」
「話に乗ってくるでしょうか?」
「同盟は帝国と違って、信教の自由を保障しているからな。嫌がるだろうが、地球教はサイオキシン麻薬を製造している。その点を突くんだ。麻薬問題であれば、乗ってくるだろう。サイオキシン麻薬は同盟にとっても、脅威のはずだ」
皇太子殿下が、以前、サイオキシン麻薬を摘発した際の調査結果を、机の上に投げ出すように置いた。
帝国にとって機密情報とでも言うべきものだ。
それを同盟に見せるおつもりか……。
確かにこれならば、同盟側も無視はできまい。
「皇太子殿下は、その話をどこからお聞きになられたのですか?」
「アドリアナ・ルビンスカヤ。ルビンスキーの影武者だった女からだ」
「それを信用されるのでしょうか?」
「今回はな。手土産代わりに持ってきた話で、嘘はいわんだろう。それにこちらの調査とも合致している」
アドリアナ・ルビンスカヤ? ルビンスキーの影武者? つまりフェザーンの暗部も動き出したという事か。
ここにきて急に、色々なものが表に現れだしてきた。
しかし皇太子殿下は平然とした表情をしておられる。これぐらいの事は予想されていたのだろうか? いや、これらの事を正確に予想していたのでは、ないだろう。
予想していたのは、色々な者が動き出す。という事か。帝国を改革する。つまり変える。動かす。巨大国家、銀河帝国の暗部を剥き出しにしてしまう。それに呼応するように、あらゆるものが露になる。
思わず身が震えた。ぞくりと背筋に冷たいものが走り抜ける。
「嵐だ。本物の嵐が吹き荒れるぞ。本番はここからだ。これからが改革の始まりといっていい」
皇太子殿下が楽しげに笑う。
ここからが帝国改革の本番。いや……銀河の勢力図そのものを変える、始まり。
「色んな連中が表舞台に登場してくる。喰われたくなけりゃ気合を入れろよ」
舞台が整い。役者が揃う。抑えられ続けてきた力が行き場を求めて、蠢きだす。
よ、良かった。このお方が帝国のトップで。
嵐に立ち向かう気迫。一歩踏み込む強さ。強引に状況を引き寄せる力。
皇太子殿下はそれをお持ちになっている。
我々だけでは、喰われて終わりになってしまっただろう。
生き残るためには、死に物狂いでやらねばならぬ。
もはや引き返せぬのだ。
「まずは、同盟との協議
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