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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第48話 「嵐の前触れ」
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?」

 ぼそっと女官の一人が呟く声が、予の耳に聞こえてきた。
 予が睨むとあとずさったが、できないと思われるのも癪じゃ。
 おお、やってやろうではないか。
 予の本気を見せてくれるわ。

 ■宰相府 アンネローゼ・フォン・ミューゼル■

 むかつくー。
 むかつく女でしたー。
 あのアドリアナ・ルビンスカヤとかいう女。
 皇太子殿下に近づこうとするなんて、決して許せる事ではありません。

「そう思うよね、ラインハルトも!」
「あ、姉上。わたしは会っていないので、分かりかねます」
「チッ」
「あ、姉上が、舌打ちするなんて……」
「なんですか〜」

 じろりと睨むとラインハルトが、怯えたようにあとずさります。
 ラインハルトには分からなかったみたいです。
 チッ、なんという鈍い弟でしょうか?
 やはり、肉食系に育てるべきでした。
 どうもラインハルトは女性に対して、潔癖すぎるのです。
 その上、女を見る目がないんですね。
 ラインハルトの将来が心配になって来ましたよ。
 姉としてはっ!!

「あんな権力欲に取り憑かれたような女が、皇太子殿下に近づこうとしたのです。どうせ碌な目的ではありません。ええ、ええ、きっとそうに決まっています」
「それで皇太子は?」
「話を聞くだけ聞いて、追い返してしまいました」
「良かったじゃありませんか?」
「良くありません。近づいたという事実が問題なのですっ!!」

 あの女は皇太子殿下に禍を齎す。
 アレクシアさんなど、問題にならないぐらい。厄介な女です。
 あの女に比べれば、アレクシアさんなど、天使といっても良いぐらいでしょう。
 なぜ、それが分からないのかっ!!

 ■統合作戦本部 アレックス・キャゼルヌ■

「よく来てくれた」

 ヤンとアッテンボローが顔を見せた。
 ぜひとも聞いて欲しい話があって呼んだ。

「先輩、なんですか?」
「いきなり呼び出すんですから」

 二人とも呆れたような表情を浮かべている。
 しかしこの話を聞いても、まだ平静でいられるか?

「二人とも、ロボス司令長官が六個艦隊を率いて、出征する話は知っているな?」
「知っています」

 ヤンは不満そうだ。無駄な戦いだと思っているのだろう。
 しかしロボス司令長官に対して、悪感情は持っていないようだ。無駄と分かっていながら、行かねばならない立場に、いくぶん同情的な様子だった。

「戦わずに引けば良いんだ」
「そう、その通りだ」

 アッテンボローの言葉に俺は、思わず同意の言葉を言ってしまった。
 しまった。驚かすつもりだったのに……。

「は?」
「はぁ〜?」

 二人とも鳩が豆鉄砲を喰らったような驚いた表情を見せる。

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