第捌話
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ベルベルは気が遠くなった。
「おまえのおヘソ、キズ付けたからな……、特別にジェノバ細胞を注入してやる!ジェノバ細胞なら傷ついたおヘソも一発で元通りになるぞ!」
ベルベルには謎の男の笑い声すら空しく聞こえた。
『元通りになる』とは言うものの、謎の男の言うことはベルベルには何ひとつとして信じられない。
「もう…、もういややぁあああ!殺してぇぇぇ!ひと思いに殺してぇぇぇ!お願いだからあぁぁ!これ以上おヘソが痛い思いするなんて……もうイヤあぁぁぁぁぁ!」
ベルベルはとっさにそう叫んだ。
謎の男はそんなベルベルの訴えを笑って受け流した。
「何言ってるんだ!ダメだ!そうそうラクになんかさせられないぞ!それに言っただろ、おヘソを元通りにしてあげると!それでもって、おまえのおヘソをモノ凄くカッコ良くしてやるって!」
謎の男の非情な言葉を聞き、ベルベルは身体中の力が抜けて何も出来なくなった。
最早ベルベルには、極太の注射が自分のヘソに音もなく迫る様子を眺めるしか為す術はなかった。
太く、そして鋭く尖った針先がベルベルのヘソの中心に宛がわれた。
そして、無慈悲にも、そのままヘソの中心を刺し貫いていった。
その瞬間、
「うぐぐぐぐぐぐぅぅぅぅぅぅ!」
ベルベルはカッと目を見開き、歯を食いしばり、身体を硬直させた。
キズついたヘソに針を刺されるだけでも相当な痛みであるのに、そこへさらに液体となったジェノバ細胞が注入された。
痛みは数十倍になってベルベルのヘソを襲った。
もちろん、そのガマンにも限界があり、
「ぎゃはあぁぁぁぁぁぁぁぁ!もうやだぁぁぁぁ!たっ……助けてえぇぇぇぇぇぇ!おヘソ……、おヘソおぉぉぉぉぉぉぉ!」
ベルベルは大声を上げて叫び、身体を大きく揺すって抵抗した。
無論、そうすることにより、自分で自分のヘソをさらにキズ付ける結果になるのだが、今のベルベルにはそこまで考えがまわらなかった。
一刻も早く、ヘソの痛みから逃れたい。その一心の行動だった。
もちろん、そんなベルベルの思惑など通用するはずもなく、ベルベルは自分のヘソから注射針を抜くことが出来なかった。
ベルベルが暴れれば暴れるほど、注射針はヘソの奥深くへと刺っていく。
そして太い注射管に溢れんばかりに入れられたジェノバ細胞がベルベルのヘソに注入される。
抵抗する為に全ての体力を失ったベルベルは、許容限界を超えたヘソの痛みに、口をパクパクさせて悶えるしかなかった。
少量ずつ、ゆっくりとジェノバ細胞がテベルベルのヘソに注入されていく。
ジェノバ細胞を含んだ液体には刺激こそなかったが、針を打ち込まれたヘソには想像以上の負担がかかっていた。
「がっ……ふうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!はああぁぁぁぁ………」
呼吸すらまともに出来ない。
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