第60話 眠りの前のひと時
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れを素直に示せるほど貴虎はもう若くもなくて。ただ手を差し出すしかなかった。
震える手で握り返した光実は、どんな想いでいたのだろう。
そして、傍らですやすや眠る小さな妹。
いつかこの子にもあの真実を見せるべき日が来る。それは待ち遠しくもあり、同時に恐ろしくもあった。
「おやすみ、碧沙。よい夢を」
すでに眠る碧沙の頭をそっと撫でてやる。こう言ってやると、何故か碧沙はひどく喜ぶ。だから貴虎も光実も、碧沙には寝る前にこれを言う癖がついた。
貴虎は神など信じない。だが、せめて小さな妹が眠りの中でも健やかであれと祈ることは、やめられなかった。
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