鬼面仏心
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「仲間を思うその心」
フリードがそう告げた瞬間、ラクサスの表情が変わった。
「妖精の法律は術者が敵と認識した者にしか効果がない。言ってる意味が解るよな、ラクサス」
「心の内側を、魔法に見抜かれた・・・」
「つまり、ラクサス様は私達及び街の皆様を敵だとは思っていない・・・という事ですか?」
フリードの言葉にレビィとシュランが呟く。
シュランは一瞬怪訝そうな表情をしたが、その答えは自分の無事が示していた。
「魔法にウソはつけないな、ラクサス」
壁に凭れ掛かったまま、フリードは笑みを浮かべる。
「これがお前の『本音』という事だ」
その言葉は、全てを崩した。
ラクサスが隠していた本音を、一瞬にして暴き出す。
「違う!オレの邪魔をする奴は全て敵だ!敵なんだ!」
拳を強く握りしめ、ラクサスが叫ぶ。
「もう止めるんだ、ラクサス。マスターの所に行ってやれ」
「ジジィなんかどうなってもいいんだよ!」
ラクサスが叫んだ、瞬間―――――――――
「・・・ウソつき」
短く発せられた言葉は、大聖堂を一瞬にして静寂へと変えた。
「そんなに嘘を重ねて何になるのよ・・・それでアンタが得をするの?それで何かが変わるの?それで・・・マスターの容態が良くなるの?」
畳み掛けるように言葉を紡ぐティアは知っていた。
幼い頃からギルドにいる彼女は、否、かつてからラクサスを天敵とし天敵とされてきた彼女は誰よりも理解していた。
「私はギルドの加入が早いから・・・アンタの事はアンタが10歳の頃から知ってるわ。昔から生意気で嫌いな人種で、大嫌いだった。それは今も変わらない」
吐き捨てるように言い放ち、真っ直ぐにラクサスを見据える。
「だけれど、何かしら関わる度に知るの」
嫌いな分、口喧嘩などで関わる事が多かった。
天敵同士憎まれ口を叩く事で、彼女は理解する。
「アンタが祖父―――――――マスターマカロフを大好きだと」
ラクサスの目が大きく見開かれた。
「憧れが何故反発へと変わったかは解らないけど・・・アンタは1つ、勘違いをしている」
その瞳に映るのは、現実。
曲げようのない、どんな強力な魔法を持ってしても変えられない何よりも確かな。
そしてティアの目は、現実しか映さない。
その目には―――――現実しか、映らない。
「私がアンタを『七光り』と呼ぶ理由を」
その言葉が、ラクサスへと怒りを呼び戻した。
バキバキと体中から雷の音を響かせ、叫ぶ。
「オレはオレだっ!ジジィの孫じゃねえ!ラクサスだっ!ラクサスだぁあああーーーっ!」
その叫びは、ただ悲痛だった。
悲痛
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