第四章
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で応える仲根だった。
「わし、やりますさかい」
「それじゃあな。頼むで」
西本はにこりと笑って仲根に告げた。そのうえで彼の前から去った。
仲根は西本のその背中、去ろうという六十八番を見てだ。心に誓った。
「絶対に打つんや、親父への最後の花向けや」
何も結果を出していない自分に置き土産とまで言ってくれた西本に、これまで見捨てずに教えてくれた彼への恩返しの為に。その為にだ。
彼は打とうと誓ったのだ。はじめてのホームランを。
試合がはじまった。どちらの選手もファンもただ西本を見ていた。
「これが最後や!」
「西本さんの最後の試合や!」
「恥ずかしい試合なんかするか!」
「今日の応援は特別や!」
ライバルチーム、親会社も含めてそうである筈だった。しかしだ。
近鉄も阪急もだ。今日は違っていた。
まさに一丸となって西本の為に戦っていた。彼等の監督の為に。
阪急のベンチにいる阪急の監督上田利治もだ。こう言った。
「あの人がおってこそや」
「阪急がありますね」
「そして近鉄も」
「あれだけの人はもう出んかもな」
しみじみとした口調でだ。上田は阪急のコーチ達に話した。
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