第七十五話 避けられぬ戦いその五
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「例え大統領候補を暗殺してもな」
「ネオコンはどうにもならないですね」
「流石に副大統領候補まで暗殺することは難しい」
「大統領候補と共にそうするのは」
「不可能に近い」
工藤は高橋に対して言い切った。
「そして今のままじゃ選挙自体に負ける」
「何か大統領に同情したくなりますね」
「あまりいい大統領じゃなくてもな」
「ですね、本当に」
「まず民主党で決まりだ」
大統領選挙は、というのだ。そして工藤が話すのは大統領選挙だけではなかった。アメリカの選挙は大統領を選ぶものだけではないのだ。
「上下院も知事もな」
「どれもですか」
「共和党は不利だ」
「この四年間が響いていますね」
「支持層も減ってきている」
共和党、特にネオコンの支持層は白人の保守層だ。だがその白人の保守層の間でもだというのだ。
「白人の保守層からも愛想を尽かされてきている」
「何しろ全体の一割にしか恩恵がないですからね」
「一割は本当に僅かだ」
アメリカの人口は三億だ、その三千万程度にしか恩恵が及ばない政治ではというのだ。
「アメリカはまだ白人が多いがな」
「その中で一割に入るのは」
「やはり僅かだ」
「ですよね、一割の中にはアフリカ系やアジア系も入りますし」
「ヒスパニックもな」
白人の既得権層だけが富裕層とは限らない、アメリカンドリームを達成し上層に加わった者達もいるのだ。アジア系アメリカ人には高学歴も多くそうした者が多いのだ。
「だからな、結果的には」
「ネオコン支持者は減っていく一方ですか」
「極端な政策は広まりにくい」
極端な者にしか支持されないからだ、そして極端な者はおおむねどの社会でも少数派になってしまうものだ。
「支持を得られにくいからな」
「しかもそれが失政ならですね」
「余計に支持されない」
「ですか、じゃあ」
「今回の選挙は民主党の大勝利だ」
工藤は断言した。
「ネオコンとそれを支持する日本の似非保守には不幸なことだがな」
「まあ自分のことしか考えない連中や何もわかっていない奴等はですね」
「どうでもいい」
取るに足らない、そうした口調でも言う工藤だった。
「問題は全体だからな」
「政治は国民全てのものですね」
「その国のな、ひいては世界全体のな」
「何か日本の似非保守はいつも自分達が嫌いな国の自己中心的な政策は批判しますね」
「その批判は当然のものだとしてもな」
このこと自体は正論だ、だがだというのだ。
「自分達の好きな国というか勢力の自己中心的な政策には」
「何も考えずにな」
「支持しますね」
「自分達に好意的に見える相手にはな」
その好意が真実かどうかも確かめずにだ、だから似非であるのだ。
「俺はそうした連中は嫌いだ」
「本当に似非ですね」
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