第58話 おこりんぼ咲
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家に帰った咲は無断連泊を両親に散々責められ、泣かれた。
ダンススクール以外の寄り道禁止を言い渡されたが、咲は大人しく従った。それだけ心配させてしまったという自覚はあったから。
そして今日、ようやく母の許しが出て、久しぶりにチームメイトに会いに野外劇場に向かっていた。
その途中、前から走ってきたモノを見て、咲はその場に棒立ちになった。
(インベス!? なんでインベスが宝石なんか持ってにげてるの?)
街中で変身できず、とっさに進路を避けた咲に、今度は人間がぶつかってきた。咲は派手に前のめりにコケた。
「うー、いだぁ……舞さんっ」
「咲ちゃんっ。ごめん、大丈夫?」
舞は咲を立たせ、服から埃を払ってくれた。
「ひょっと舞さん、あのインベス追いかけてる?」
「こっちに来たの!?」
「うん。あっち行ったよ。行くならあたしも連れてって。あたしがいないとインベスと戦えないでしょ?」
舞は迷う様子を見せたが、インベスを見失うことを恐れてかすぐに肯いた。咲は舞と一緒に走り出した。
インベスが向かったのは、湾を跨ぐ大橋の下の埠頭だった。
そこには信じたくない光景が広がっていた。
赤を基調にした格好の男が4人、金銀宝石を手にはしゃいでいる。その傍らには忠犬のように座って動かないインベス。
「曽野村――!」
「なぁんだ。誰かと思ったらチーム鎧武の連中か」
「あんたたち……まさか、インベスを使って強盗を!?」
「どうせビートライダーズは、怪物使いの悪役ってことになってんだろ? 俺たちはロックシードで好き放題やってやる。もう怖いもんなんかねえぜぇ!」
男たちから下卑た笑い声と快哉が上がる。
「バカ!! あんたたち、何のためにステージで踊ってきたのよ」
「目立ちてぇ、暴れてぇ。ただそれだけのことだったのさ」
咲の中で何かに大きく亀裂が入る音がした、気がした。
(鎧武みたいに楽しんでもらうためじゃない。バロンみたいに強さを示すためでもない。こいつらは本当にダンスなんてどうでもいいやつらなんだ)
咲は舞を後ろに押しやり、戦極ドライバーとドラゴンフルーツの錠前を取り出した。
レッドホットの男たちが怯んで下がる。
「どうしたのよ。出してみなさいよ。ジマンのインベスであたしのこと好きホーダイしてみなさいよ。爆破してやる。あんたたちごと」
咲の我慢はとうに臨界値を超えている。――もう泣かないと決めたが、もう怒らないとは決めてない。むしろ、泣かない分の感情が怒りに加算されて、これ以上ないほど凶暴な気分だった。
いざドライバーを装着しようとした時だった。
横からレッドホットのものとは別のインベスが現れ、レッドホ
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