接触
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んーとね、貴女と同じ三大天の一人、ごくら……じゃなかった。腰越マキと私は幼馴染なのよ。それであの子から貴女のことを聞いてちょっと気になったから来てみたのよ」
「腰越……」
マキの名を聞いた瞬間、愛は再度千李を睨みつける。その鋭い眼光は先ほどまでの比ではない。
それに千李は多少苦笑いを浮かべながら手をパタパタと横に振る。
「だから、別に貴女と戦う気はないってば。弱みを握るために来たわけでもないし。ただね、マキは結構やり手だから、そんなあの子と拮抗状態を保ってる貴女がどんな子なのか興味がわいただけよ」
そう言う千李には確かに敵意は微塵も見られない。愛もまたそれに納得したのか、体全体の力を抜き屋上の手すりに背を預ける。
「どうやら本当に話すだけの用事みたいだな」
「最初からそうだってば」
肩をすくませながら言う千李は愛の隣に行くと、手すりに手を乗せ頬杖をつきながら下校する生徒を眺める。
「ねぇ辻堂さん? 貴女から見てマキはどんな子?」
「ムカつく奴」
「なるほどねぇ」
愛の返答を聞いた千李は小さく笑みをこぼす。すると今度は愛から千李に尋ねた。
「そういうアンタはどうなんだよ。昔からの幼馴染があんな風に不良になってなんか思わないのか?」
「そうねぇ。思うとすれば、まぁかなり変わったなぁってことぐらいね。昔はおとなしかったんだけどね」
「想像つかねぇな、あの腰越がおとなしいとか」
「今から考えれば当たり前よね。でも本当よ? 昔はおとなしくて恥ずかしがり屋で可愛かったんだから」
そういう千李は懐かしげに笑みをこぼしている。愛からすればそんな事は全く信じられない。腰越マキといえばその辺りの不良なら縮み上がってしまうような存在だ。何せ二つ名は皆殺し≠フマキだ。
「でも心配とかはしねぇのか? 喧嘩してて怪我することもあるぞ?」
「心配してもあの子そういうのは受け付けないからねー」
そういった千李は呆れた様な表情だ。それを横目で見つつ、愛は眉をひそめた。
……コイツ、本当にあの腰越の知り合いなのか? にしちゃあずいぶんと覇気がねぇって言うか。
すると、そんな愛の視線に気付いたのか千李は、愛のほうをニヤリと笑いながら見やると、
「今本当に私がマキの知り合いなのかって思った?」
「っ!?」
「その反応はあたりみたいねー。まぁしょうがないっちゃしょうがないのかなー」
「全部を信じてるわけじゃない。半信半疑ってやつだ」
「そっか……ん?」
そこまで言ったところで、千李は愛の方に視線を向けた。愛もそれに気付いたのか若干たじろぐ。
「な、なんだよ」
「いんや……なんかよく見たら貴女と一度どこ
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