彼女の家は何処か
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ねぇ! 我が名は郭図、袁家の筆頭軍師である!」
名乗りと同時に城壁の上に松明が掲げられ、突き刺さる旗の文字を映し出した。少しの風に翻る旗には郭の字が紅く照らし出されている。
瞬時にその意味を悟った。この城は奴らの手に落ちたのだ。ここまで考えてのあの策だったんだな、と。
悔しさに自然と拳が握られ、自身の読みの浅さに激情が胸を焦がす中、郭図はさらに声を上げた。
「ここはもうお前らの持つ城じゃねぇんだ! 無駄な希望を持った事、後悔しながら死んでいきな! 銅鑼を鳴らせ!」
激しい金属音が響き渡り、左右から雄叫びと共に黒い波が押し寄せてくるのが見えた。
動揺が兵達を支配しはじめるが、舌打ちを一つ行い頭を切り替えて指示を出し始める。
「ちっ! 全軍、囲まれる前にこの場から離脱する! 北へ駆けるぞ! 星……すまない、また無茶を頼む」
「なんのことはござらん。白馬を守るは我らが務め。趙雲隊! 最後方を守り抜け! なに、この私がいるのだ、臆することは無い!」
言うが早くそれぞれが全速力で行動を開始したが――――また私達はその数を減らしてしまった。
†
公孫軍は逃亡中にさらなる伏兵による奇襲を受ける事となった。
幸い、数が少なかった為に甚大な被害を受けたわけではなかったが、それでも連続的な戦によって軍の疲労は無視できるものでは無くなった。
白蓮はさらに本城に近い一つの城にて一時の休息を取ろうとしたが門は固く閉ざされ、開かれる事はなかった。
その城を任せていたモノは白蓮の城外からの必死の懇願に対して、己が家族を守る為に公孫軍を一時でも受け入れる事は出来ない、反旗を翻す事はこれまでの恩もあるので絶対にしないが静観に伏す事を許して欲しい、と涙ながらに語った。
僅かな休息で構わない、と必死に説き伏せようとする白蓮であったが、追撃に動いたようで郭図隊が後方に現れたとの斥候の報告によって彼女らはまた戦線を下げて行った。
一つが続けば二つ三つと同じようなモノが続いていく。中には門を開いてくれるモノもいたが、やはり白蓮達は少しの休息を取るだけですぐに出て行かざるを得なかった。
白蓮はもはや救援の望みは無いと考え、絶望を噛みしめて本城へと引き返していく。
対して袁紹軍は本城へ引き返したとの報告が入ると行軍をさらに遅め、ゆっくりと本城への道を進んで行った。
遅める他なかったのだ。行く先々の街にて憎しみに染まった民や兵達からの暴動が相次ぎ、それを治めるのに余計な時間と兵力が掛かった為に。
本城への撤退を行い、残しておいた兵も烏丸の防衛に駆り出された事を知った白蓮は思考を重ね、連合時の袁家の策を考えて籠城を選ばずに陣を築いて最後まで戦う事を決める。
それに対して臣下の文官達は挙って反対の意を唱えた。
もう
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