暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
彼女の家は何処か
[11/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
り返し、幾重もの追撃を跳ね除け、もう既に朝が近い。
 私達の兵は半分にまで減ってしまった。
 しつこく追いすがってくる敵はじわりじわりとこちらの力を削いで来る。休息を行いながらではあるが馬の疲労も多大なるモノで、このままでは全滅も考えられるだろう。
 星への負担が一番酷かった。追撃の度にその武をあらん限り示し、敵の怯えを煽り、私達を守っていたから。
 自身の力の無さが悔やまれる。何故、私には星や秋斗のような力が無いのだ。
 どうすればいい。この連続追撃を確実に逃れるためには……
 牡丹と星の二人も同じことを考えているようで、真剣な表情で悩んでいた。
 もうすぐこの林道での短い休息も追えてまた駆け出さなければいけない。
 私の頭では……全くいい案が思い浮かんで来なかったが、ふいに牡丹が微笑んでこちらを見た。
 何故、お前はそんなに安らかな表情をしている。
 何故、お前を見ているとこんなに、今にも消えてしまいそうだと思うんだ。
 微笑みに疑問が浮かぶも私の口は開かず、代わりに牡丹が言葉を放つ。
「聞いてください白蓮様。このまま一所に纏まったままでの逃走では全滅もあり得るでしょう。星の負担も大きすぎます。昔、あのバカから一つの策を聞いた事があるんです。それを使えば生存率は格段に上がります」
 あいつからの策であるのならば、きっと有用なモノだろう。
 奇抜な発想から来る策はいつも誰かの助けになっているし。
「どんな策なんだ?」
「秋斗の部隊はそれをある程度為す事が出来ると哀しい眼で言ってました。そして、今の私達の軍の兵士でも可能でしょうし、この林道での状況ならより有意義に使えます。その策の名は捨て奸。部隊を囮として分散配置し、本隊を逃がす為に死ぬまで追撃の防御に当てる策です。私達第二師団の命をお使い下さい」
 唖然。私はしばらくその意味を理解出来なかった。
 こいつは今なんて言った?
「クク、秋斗殿はいつもえげつない策を考える事だ。だがな牡丹、その役は私に譲って貰おう」
「いいえ。この策は弓の腕も必要なんです。命中率の高い射撃後の突撃こそがこの策の最大の肝です。我らの馬は他の歩兵に渡せばより速い行軍が可能になるでしょう。張コウが来たとしても容易に抜く事は出来ません。林道に点々と配置する何重もの兵の壁になるので迅速な突破など呂布と呂布隊くらいしか出来ないでしょうね。それに、私が残ればある程度の時間も稼げますし、その後の追撃に対して星がいなければ白蓮様を守るのに不安が残ります」
「しかし――――」
 星と牡丹のやりとりを聞いていて漸く意味する所を理解した。
「ふざけるなよ……そんなトカゲのしっぽを切り捨てるような事が出来るか! せめて一人でも多く生き残らせる事が――――」
 怒鳴る途中で牡丹が私を抱きしめてきて、温もりが伝
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ