思い出の丘に向かいました
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「第四十七層の街はフローリアって名前なのか」
「俺達は先に宿を探してくる、補給は適当にやってくれ」
「オレっちは継続イベントを一回りだナ、他の攻略組に持っていかれるわけには行かなイ」
「んじゃ、南門でな」
それぞれ、思い思いの場所に散っていく。
「さて、でかい風呂を完備した宿屋を探すぞ」
「はい」
あれからリズは口数が少なくなったな、まぁ、ついさっき死に掛けたんだから仕方ないか。
ふと振り返れば、リズがボーっとしたまま足を止めていた。
「――――どうした? リズ?」
特に何かを見つけた訳でもなく、俺を見つめたまま何も言わない。
「シリカ、悪いがリズの手を引いて来い、向こうの世界に行っちまってる」
シリカがリズに近付いて目の前で手を振るが反応が無い、手を引いたところで、やっとリズが正気に戻った。
「え? あ、ごめん、ボーっとしてた?」
「あぁ、かなり重症だったぞ、早く宿で休め」
「…………そうするわ」
今度は顔を伏せて、明後日の方向にトボトボと歩き出した。
――――――シリカと顔を見合わせた後、リズをシリカに捕まえさせた。
それから暫くして、目的の宿を見つけた。
「此処の宿なら大きなお風呂があるみたいです」
「やっぱり今まで泊まってきた宿と同じ様な外観や内装だな」
「チェーン店なんでしょうか?」
「全階層に展開してるってなると、かなり巨大な組織になっちまうぞ? CGの使い回しじゃないか?」
「夢を壊すような事を言わないで下さい」
「ファンタジーな世界にチェーン店を持ち込む時点でどうかと思うぞ?」
「クラディールさんが言い始めたんじゃないですか」
「アインクラッドの建築技術では宿屋ってのは全部こんな感じなのかと疑問に思っただけだ、
ほれ、とりあえず部屋を見せて貰うぞ、鍵を借りて来い」
リズをロビーに座らせて、シリカがNPCの店員から部屋の鍵を借りて直接部屋へ向かう。
部屋の内装は問題無く、隣の風呂場も充分広かった。
「この部屋で問題ないな?」
「はい、大丈夫です」
「んじゃ、チェックインしてリズを連れて来てくれ」
「わかりました」
シリカが鍵を持ってフロントへ向かった。
俺は念の為、この部屋にコリドーの出口をセットしておく、転移結晶で戻れるのは転移門だし、
そのタイムロスが原因でピナが復活できなかったら最悪だからな。
暫くすると、シリカがリズの手を引いて部屋に戻ってきた。
「チェックインは済ませました」
「良し、俺は直に出る、昼過ぎには必ず戻るから、何時でも出られる準備をしておけよ?」
「はい――――ピナの事よろしくお願いします」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ