ボス戦は始まってました
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丈夫? 攻撃パターンが変わったら直ぐに逃げてよ?」
「大丈夫だって、アスナったら心配し過ぎよ」
「時間だ、次でスイッチ入れるぞ」
ボスから繰り出される左右の振り下ろしを俺とアスナのソードスキルで払い除ける。
「今だ、リズ!」
「ふうぅッ、えいッ!!」
リズの振り下ろした一撃がボスのHPバーから五パーセント、いや、六パーセントほど削り取った。
攻略組の平均が二パーセントから三パーセントだった事を考えると倍か、それ以上のダメージを与えている。
次々とHPを削るリズの姿を見て、攻略組が次第に騒がしくなっていく。
「おお、すげえ」
「マジかよ、どれだけ攻撃力上げたんだよ」
「撲殺の名は伊達じゃねえな」
「何で今までボス攻略に来なかったんだ?」
リズの耳にも届いているのだろう、異性から持ち上げられて、顔を少し赤くしながら攻撃を続けている。
――――恥ずかしいのか? まぁ、『撲殺』の名前はアレだろうけど、顔を真っ赤にするほどかね?
あ、そう言えば、リアルのリズ、『篠崎里香』は、中学校では髪型が三つ編みの優等生女子だったっけ?
異性に褒められたりだとか、他人からお世辞を言われる経験が少ないのかもしれないな。
そして、リズの攻撃でボスのHPバーが半分を突破した瞬間、攻略組から怒号の歓声が上がった。
――――おかしい。
いつもの攻略組なら、もっと殺伐とした空気で、黙々と自分のギルドが優位になるような駆け引きばかりしていた筈だ。
ボスの前に三人しか立てなくて、暇を持て余しているにしても騒ぎ過ぎだ。
誰かが攻略組の無意識を意図的に騒ぎ立てて持ち上げている奴が居るな。
視界の端を注意してみれば、攻略組の誰もがリズの活躍を見守っている中で、足を止めずに動いている奴が数名居る。
声を出していない攻略組の後ろに潜り込んでは、着火でもする様に声を出している奴が居た。
――――アレが原因か!
人は図書館やテスト中、授業中など、静かにしなければならない場所で、気が付けばお喋りをする程に騒がしくなる事がある。
始めはノートを擦る筆記用具の音だったり、誰かが鼻を啜った音、咳をした音、椅子を引いた音、机を直した音。
『他の人がこれくらいの音を出しているから、自分がこれくらい音を出しても大丈夫だ』その無意識が雑音を広げる。
問題なのは、今それを利用している連中は、リズの弱点を充分把握しているって事だ。
元々戦闘に不慣れだったリズを、無理やり最前線で戦う様に仕向けたのは俺だ、
だからリズをボス戦にも出さず、この弱点を伏せて来た。
なのに、この演奏を指揮している奴は、俺達の関係を良く観察して的確に
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