4章
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「貴様がさっさと倒されないせいで私は教官に怒られたのだぞ!」
「私がなにをしたというのだ。聴取があるだろうということは分かっていたはずだ。それを忘れ、私を全員で襲いかかるように仕向けたのは誰だ。自業自得だ」
隊の者と協力をすることができたこの一見は隊に良い影響を及ぼし、訓練でもより効率的に動くことが可能となっている。
決して悪いことというわけではないのだが、ここからはラウラの意地が問題だった。
「そ、そうだとしても貴様は手加減していただろう! それが許せんのだ!
「容赦はしていなかったが?」
確かに容赦はしていない。隙あらば投げ意識を刈り取る一撃を食らわせた。
手加減した一撃だが。
「ぐっ… 確かにそうだ… だ、だとしてもっ!」
まだ食い下がろうとするラウラだったが、ここで千冬が戻ってきた。
「何をしている、ラウラ。席に着け」
「教官… 了解しました…」
負けず嫌いでも千冬には従順だった。
「出来たぞ。運ぶのを手伝ってくれ」
隊の者と協力して作った日本食が並べられる。
ご飯、煮物、ジャガイモの味噌汁、肉じゃが。まさしく日本食とのことだったので、焼き魚も、とは思ったが、こちらの魚は良くわからない。メモに書いたものを最低限揃えてもらい、なんとかこのメニューになった。
さすがに全てが揃えることはできず、足りないと判断してサラダも急遽、追加された。シュヴァルツェ・ハーゼの面々は箸を使うことができないため、8割ほどがスプーンとフォークを持ち、はじめてみる日本食というものに興味が向かっている。
「ふむ見た目は中々だ」
「…食べてその発言、撤回させてくれる」
彼としては長いこと料理とは程遠い場所にいたために腕が錆びていないか心配だった。確かに腕は錆びていた。だが、それは間隔を思い出すようにゆっくりと進めていけば大きな影響は及ぼさない程度。
「では、いただきます」
一口、煮物を口に運ぶ。
味噌汁を啜る。
肉じゃがを――――
誰が見てもこの料理に満足しているのは千冬だった。
口を開くのは唯、食べることだけに。黙々と箸を進める彼女をシュヴァルツェ・ハーゼの面々は見たことがあるだろうか。確かに食事の際には口数少なく食べていることがほとんどだったが、この様子は初めてだろう。
『勝った』
大人気なく、そう一人の男は思う。
箸に挑戦する者もいたが、慣れないものではやはり食べにくい。諦め、フォークに持ち替えていく中、一人だけ頑なに持ち替えようとしない銀髪の少女。
「隊長、このままでは料理が冷めてしまいます」
「だが、このまま箸で食べられないままではエミヤシロウに負けたことに…」
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